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【ヘルタースケルター(ネタバレ)】3つの結末に監督が込めた意図を徹底解説!りりこはなぜ目をえぐった?片目で見えた景色とは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B009E1F466/cinema-notes-22

2012年公開の『ヘルタースケルター』は、写真家でもある蜷川実花が監督を務めたことで話題となりました。

極彩色豊かな美しい映画は、女性の美を追求した映画です。

監督が3つの結末に込めた意図はなんだったのかを徹底考察していきます。

りりこが目をえぐったわけ、そして片目となったりりこが見た景色とは一体どのようなものだったのでしょう。

沢尻エリカの代表作となった『ヘルタースケルター』を細かく観ていきましょう。

3つの結末に監督が込めた意図

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『ヘルタースケルター』には3つの結末が用意されていました。

なぜ監督は結末を3つ用意していたのでしょう。

ひとつめの結末の意図

記者会見で倒れゆくりりこの姿で最初の幕は下ります。

足元から崩れ落ちる人気商売、芸能界の儚さ、そして世間の興味は一瞬であること……。

全てを受けいれたりりこが下した決断です。

売れるためとはいえ社長の操り人形のように過ごしてきたりりこは、記者会見で自分の意志表示をしたのでしょう。

記者会見に挑むりりこは、飾り立てることなく自分の意志で存在しているようにも観えます。

更に注目されることを貫き通した、りりこの強さも描かれているのではないでしょうか。

ふたつめの結末の意図

ふたつめの結末は大きなメッセージ性が隠されています。

その二つはイコールじゃない、若さは美しいけれど美しさは若さじゃない

美はもっと深くて複雑で、あらゆるものを豊かに含んでいる

引用:ヘルタースケルタ―/配給会社:アスミック・エース

麻田のセリフですが、映画のまとめともとれるセリフではないでしょうか。

りりこの美を求める狂気は、多かれ少なかれ全ての女性に通じるものです。

見せかけの美しさに惑わされ、自分を見失ってしまわぬように……。

本当の美しさを求めて欲しいという監督の想いが伝わってきます。

更に、りりこはただの美しいモデルではありません。

記者会見で派手な演出をしたことで、世間では忘れられない存在になったのです。

世間の無責任な興味が、彼女に狂気とも思える行動をとらせたことが伝わってきます。

最後の結末の意図

蜷川実花 虚構と現実の間に

「やばいお店」を経営し君臨するりりこの姿は、これまでになく堂々と観えます。

経験を通して、彼女の心は更に強くなっているのでしょう。

世間の評価を気にしてビクつくこともなく、麻田のいう「あらゆるものを豊かに含んでいる」美を手に入れたのです。

女性のもつ強さに背筋が凍るシーンでもありますが、自分で決めたことを突き進んだ姿は美しいという監督の意図が含まれているのでしょう。

最後のほほえみは何を物語る?

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ラストシーンのりりこの「笑い」は、何を意味しているのでしょう。

こずえの驚きを笑った

こずえにとって、りりこは負け犬であり美の競争から脱落した存在だったはずです。

しかし目の前に君臨してるりりこは妖しいほどに美しく、こずえは驚いた表情をしたのでしょう。

セリフがあるなら「何を驚いているのかしら」とでもいったのではないでしょうか。

りりこはそうそう簡単に、駄目になる女性ではないのです。

勝利の嘲り

りりこは、かつてこずえに劣等感を感じていました。

しかし、ラストには芸能界の無常を受け入れているこずえの姿が小さなものに見えたのかもしれません。

いつか消えていくこずえよりも、自分の城を築き美しさを誇っている自分の方が格が上だと感じたのです。

彼女の笑いは小物と認識した、こずえに対しての嘲りとも取れえます。

目をえぐったのは忘れられない為

蜷川実花 虚構と現実の間に

劇中で目をえぐったりりこは狂気の中にいるように映りますが、この時の彼女は正気ではなかったのでしょうか。

世の中に強いインパクトを叩きつけた

見たいものを見せてあげるわ

引用:ヘルタースケルタ―/配給会社:アスミック・エース

りりこの上記のセリフは大きなインパクトを与えます。

それまでの彼女は、見てもらえるように美を磨き上げてきたのです。

しかしここでは、世間に惑わされることなく自分を見せつけてやろうとしています。

記者会見の前に彼女は最後の勝負を決意したのでしょう。

りりこというモデルが死なないように、世間に忘れられないインパクトを与えたのです。

まさに体をはったパフォーマンスでした。

整形に固執し続けた自分へのけじめ

完璧な姿こそが美しいと信じていたりりこですが、完璧な姿はもはや絶望的です。

彼女は自分のパーフェクトな容姿に、諦めというけじめをつけたかったとも考察できます。

元には戻れない姿を自ら作り出すことで、芸能界という世界を去る決心をつけたかったのではないでしょうか。

去り際まで華やかで、凛としたりりこの姿が印象的なシーンになっています。

死を決意していた?

目を刺して死ぬ確率は低いといえます。

りりこは死を覚悟していたわけではありません。

これまで、もてはやされてきた顔に致命傷を与えたということに意味があるのです。

彼女が目をえぐった時、カメラを向けている人々の無表情で無機質な動作が観る者をぞっとさせます。

注目されるという空虚さや、飽きられるという無常さを感じずにはいられません。

片目で見えた世界

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りりこが片目で見た世界は、それまでの世界とは全く違ったものだったでしょう。

不安からの解放

美を手にいれたことでりりこは地位や名声、権力そして男性達を手にしてきました。

多くのものを所有するということは、その分失う不安も大きくなるものです。

片目となったりりこは、全てを過去のものとする覚悟が出来ています。

完璧な美を失った彼女は、不安や嫉妬心から解放され心は穏やかになったことでしょう。

新しい世界

誰も私を必要としていない

だから私が決めて、私が壊すの

引用:ヘルタースケルタ―/配給会社:アスミック・エース

上記はりりこのセリフです。

自分はもう人の為に存在しなくていい、自分の為に存在すればいい、とも取れます。

片目になったことで、彼女には自分の為に生きる新しい世界が見えたことでしょう。

りりこは何も失っていない

earthly flowers,heavenly colors ([テキスト])

整形の副作用であざが広がり、ついには片目を失ったりりこですが、彼女は更に強くなっていました。

彼女が失ったものはない

りりこがこれまで大切にしてきたものは、全て偽りのものでした。

偽りの愛情や空虚な人気、そして偽りの美貌です。

しかし彼女は偽りの姿を脱ぎ捨てただけで、何も失ってはいなかったのではないでしょうか。

むしろ、自由と真の美を手にして更に華やかに成長しています。

りりこはずっと「タイガー・リリー」だった

麻田はりりこのことを称讃しているように考察出来ます。

彼女をタイガー・リリーと呼んでいるのも、その表れでタイガー・リリーは気が強く意志の強さと心の強さを持っているのです。

時代を切り開きトップに君臨しようとするりりこの強さを認めており、彼女が芸能界を離れ行方不明となったラストでもその気持ちは変わっていません。

見た目だけではなく、本当のりりこを理解していたのは麻田だったのでしょう。

蝶の意味

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劇中には蝶が沢山登場していますが、蝶は美しい女性の象徴です。

しかし、蝶は儚い生き物なので美しく成長してもすぐに命が過ぎ去ってしまいます。

美しいものは命が短く儚いということを表す象徴として、多くの蝶が作中で起用されていたようです。

モデルとして活躍し、苦悩に悶えるりりこの周辺に多くの蝶が描かれていたのが印象的です。

「美」を求める女性の強さ

蜷川実花写真集 ヘルタースケルター HELTER-SKELTER MIKA NINAGAWA『ヘルタースケルタ―』は沢尻エリカの演技が高く評価された作品です。

女性の持つ美への執念や、芸能界を通しての人間の無責任な興味などを斬新な切り口から楽しめるのではないでしょうか。

またストーリーだけに留まらず、極彩色の美しい蜷川実花ワールドは何度観ても飽きの来ない芸術作品といえるでしょう。