鬼邪高はこのようにまとまるまでが大変であり、鳳仙学園とは違って1枚岩の組織ではありません。
牙斗螺はそうした不安定さを利用して鬼邪高の名を騙って鳳仙学園に攻撃を仕掛けました。
ありがちな策謀だったわけですが、騙しのテクニックとしては完璧でしょう。
商売の邪魔になるから
そして3つ目の理由は鬼邪と鳳仙が麻薬商売の邪魔になるからでした。
麻薬密売人はというといかにも治安の悪い地域に現れると思われがちです。
しかし、麻薬密売人は意外と平和な日常の中にそっと忍び込んできます。
詐欺師と同じように平和で安全と思われるところにこそやってくるものです。
その理屈で行くと、鬼邪と鳳仙は悪事を裏で取り締まる厄介な存在となります。
真正面から戦ったのでは勝ち目はなく、同士討ちを狙うしかありません。
ドラッグが横行していた理由
今回の事件の元凶にもな理、かつてSWORD地区で出回っていたドラッグ「レッドラム」。
それがどうして本作でもまた横行していたのでしょうか?
新太というカモがいた
今回またもやレッドラムが横行していたのは新太というカモがいたことでした。
村山の幼馴染であった彼は末期ガンとなった母の治療費を何とか工面しなければなりません。
しかし、学生がどんなに頑張って働いたところで直ぐにまとまったお金は稼げないものです。
だからと言って消費者金融から借金することも出来ないという八方塞がりの状況でした。
その心の隙間にそっと忍び込むようにして牙斗螺はレッドラムで儲けようとしたのでしょう。
いかにも詐欺師がやりそうな卑劣な手口だったことがわかります。
村山との因縁があった
その新太をカモにしていた牙斗螺の金平優斗・秀斗はどちらも村山に因縁がありました。
その因縁に決着をつけ村山に一矢報いたかったのかもしれません。
しかし彼は鬼邪高最強の男であり、真正面から戦ったのでは勝てるわけがないでしょう。
真っ向勝負が無理である場合は奇策を用いて勝つ以外に方法がなかったのです。
しかし金平兄弟はあまりにも村山達を甘く見ており、それが敗因となっています。
このような策に負けるほど鬼邪も鳳仙も愚かではなかったのです。
負けに不思議の負けなし
結果的に牙斗螺の目論見は失敗したわけですが、原因は情報不足と油断にありました。
村山が単に腕っ節が強いだけではなく頭もそれなりに賢く新太とも幼馴染だったのです。
そうした過去の繋がりがあったと判明した時点で新太を倒しておくべきでした。
しかし、殺人まで犯す勇気はないから制裁だけに留めてしまい隙を与えたのです。
この時点で牙斗螺の計画は破綻していたといっても過言ではありません。
決して数の暴力でも何でもなく、彼らは情報取集や作戦立案の見通しが甘かっただけです。
悪役は常に負けるべくして負けていることをよく示していたのではないでしょうか。
本作の根底にあるもの
表面だけを見ると本作はいかにも不良漫画の王道を全部出し切った作品かのようです。
しかし、実は根底に鋭いメッセージ性が隠されていますのでそれを暴いていきます。