ベンの叱責は若者達へ浮かれるなという忠告であると同時に、やりきれない仕事への思いを吐露したとも考えられます。
主人公達の心情
アメリカ経済が破綻する裏で儲ける主人公達。かれらはどういった心情だったのでしょうか。
儲けること
主人公達は、それぞれが儲けることが仕事です。彼らは銀行のようにお金を貸す側の人間ではありません。
彼らの役目は投資家達のために働くことなのです。当然、利益が出なければ商売になりません。
彼らもまた、自分の仕事をこなしているのです。そのためには、自分達が破綻するわけにはいかない。
彼らの作中での行いは、ビジネスマンとしては至極真っ当なものと捉えることができます。
人間としての情
その一方では、映画のラストで儲けたはずの彼らには勝利の爽快感は皆無でした。
なぜならば、彼らの勝利・儲けとはアメリカ経済のしいては世界の経済の破綻を意味しているからです。
儲けの裏には苦しむたくさんの人々がいる。
主人公達は自分達の仕事に徹しましたが、人間性までは冷徹になりきることはできません。
だからこそ本作は、コミカルながらも人間の矛盾に切り込み描き出すことに成功しています。
マークの怒り
ベンと同じように、作中で怒りを表現している人物がマークです。
常に何かにイライラしているマーク。彼のその態度の理由は、強い道徳心によるもの。
マークは兄を失っています。その理由に投資が絡んでいるらしいことが映画の描写から伺えます。そのため、マークは銀行を激しく憎んでいました。
ベンと同じように、儲ける人間がいる裏では苦しむ人間いることをマークは身をもって知っていたのです。
マークがCDSを持ち続けた理由
映画の最後、ギリギリまでマークはCDSを持ち続けました。それは何故でしょうか。
マークの葛藤
マークがCDSを売れば、彼と彼のチームに莫大な利益が入ります。ですが、それは経済の崩壊。
そのツケを払わされるのは、銀行や証券会社ではなく真面目に働いてきた何も知らない一般の人々です。
兄を失ったマーク。しかし、CDSを売るということは自分もまた自分が憎んだ銀行などと同じになるということを意味しています。
その葛藤があったからこそ、マークはギリギリまでCDSを売ることをためらっていました。
それでも売った理由
それでも最終的にはCDSを売ったマーク。彼には仲間もいますし、自分達を信用してくれた顧客もいます。
彼らのためにも、CDSを売らないわけにはいかなかったのです。守れる範囲の人々を守ったマーク。しかし、その苦悩は深いものでした。