これには彼のプロイセン貴族としての素養が功を奏していたのでしょう。

権力構造の中で貴族たちは自分の立場を強化する術を心得ていました。

退廃した貴族社会では同性愛も日常的だった可能性もあります。

シュトランスキー大尉はトリービヒ少尉の同性愛という指向を見抜き、それを巧みに利用することもわけなく出来たのです。

ブラント大佐に協力しなかったシュタイナー

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ブラント大佐は過酷な戦争のさなかでも冷静さと誇りを失わない知的な将校でした。

ハリウッド製の戦争映画では連合国側の将校として登場することが多い役どころです。

勿論このような人物はドイツ軍にも日本軍にもいました。

彼はシュタイナーのような現場で重要な役割を果たす人物も適正に評価し、将来のために優秀な部下を生き伸びらせようとするのです。

でもそのようなブラント大佐の思いをシュタイナーは受け止めようとしませんでした。

ブラント大佐、シュタイナーのそれぞれの思いに迫ってみましょう。

ブラント大佐の正義

ブラント大佐もヒトラーの狂気はわかっていました。

恐らくドイツ軍の多くの知的な将校はブラントと同様だったことでしょう。

そして自分たちの力ではこの狂った戦争をどうしようもないことも理解していました。

自分に与えられた領域の中で最適な振る舞いを模索するしかなかったのです。

それがシュタイナーの評価やシュトランスキー大尉の告発への動きにつながっていたのでしょう。

彼は祖国の将来のため、部下たちのため自分で出来る範囲の正義を貫こうとしました。

最後は多くの部下たちを殺してしまった責任者として自分も死地に赴く覚悟だったのです。

シュタイナーの美学

シュタイナーにはブラントを縛ったような倫理感や哲学はありません。

彼にあったのは戦闘の中での嘘偽りのない仲間意識だったり、部下に対するリーダーとしての存在意義です。

彼は日常のぬるま湯の生活にはない常に死と隣り合わせの緊張感の中でベストを尽くして日々生き抜くことに一種の快感を感じていました。

それは既存の価値観や倫理観を超えた彼自身にしかわからない美学といってもよいものです。

その美学はシュトランスキー大尉の悪行を告発しようとするブラント大佐の正義感に同調することを拒否しました。

彼にすればそんなことはどうでもよかったのです。

戦争の真実を突きつける【戦争のはらわた】

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この物語は人間の愚かさと危うさを我々に問いかけます。

どのようにいい繕っても戦争に正義はありません。

ハリウッド映画で描かれることが多い連合校側の正義とドイツなど枢軸側の悪は作り事でしかないといえます。

勿論ヒトラー一人を悪者にしても何も解決しないのは当然です。