出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B006QJSAZ6/?tag=cinema-notes-22

【戦争のはらわた】はバイオレンス映画の巨匠であるサム・ペキンパー監督による唯一の戦争映画です。

ハリウッド映画で戦争が描かれる場合連合国側の視点が一般的ですが、この映画ではドイツ側の視点で描かれています。

衝撃的なラストシーンは何ともいえない余韻を残すと評判を呼びました。

戦争という容赦のない暴力と逃げ場のない現実の中で生きる人間のドラマが様々な角度から描かれている作品です。

戦闘シーンの描写はその後の戦争映画に大きな影響を与えました。

この作品は人間や社会の本質の追求という意味でも映画史に残る傑作といえます。

シュタイナーの乾いた高笑い

 soldiers

この作品において最も衝撃的なのはそのラストシーンです。

シュタイナーの乾いた高笑いにはどのような意味が込められているのでしょうか。

マシンガンの弾倉も変えられない将校であるシュトランスキー大尉を馬鹿にして笑っただけではないのは明らかです。

シュタイナー何のために戦い、どのような正義を持っていたのでしょうか。彼の高笑いから探ってみましょう。

何に対する笑いなのか

シュタイナーはシュトランスキー大尉がマシンガンの弾倉を再装填出来ずに慌てふためいているのを見て高笑いしました。

これだけ見ると一見シュトランスキーを馬鹿にして笑っているかのようにも見えます。

実は彼が笑い飛ばしているのは戦争という馬鹿げた人間の仕業であり、勲章ほしさに東部戦線に志願したシュトランスキーの行為なのです。

理不尽に死んでいったシュタイナー小隊の仲間たちの現実などもその対象に含まれるのかも知れません。

戦争とは

映画パンフレット 「戦争のはらわた」監督サム・ペキンパー 出演ジェームズ・コバーン、マクシミリアン・シェル
「世の中に絶対ということはないけれど、戦争だけは絶対にしてはいけない。」と言った人がいました。

正しい戦争など存在しません。そこでは理不尽に何の罪もない大衆が無残な死に方をするだけです。

人は馬鹿馬鹿しいほどに愚かなのでしょう。シュタイナーの高笑いはそのような愚かな人間全体に向けられているのではないでしょうか。

ここで見逃してはならないのは、そんなシュタイナーは戦争を楽しんでいるかのように見えることです。

暴力に酔い地獄のような環境の中でしか生きる実感を持てないシュタイナーのような戦争中毒も存在することを忘れてはいけません。

エンドロールのメッセージ

ナチス

この作品の真骨頂はエンドロールに込められた強いメッセージ性にあるといえます。

諸君、あの男の敗北を喜ぶな。世界は立ち上がり奴を阻止した。だが奴を生んだメス犬がまた発情している。

引用元::https://ja.wikipedia.org/wiki/戦争のはらわた

これはベルトルト・ブレヒトの言葉です。

この言葉でいうところの「あの男」「発情しているメス犬」とは一体何を指しているのでしょうか。

このメッセージでこの作品は我々に何かを警告していることは間違いありません。

この言葉とともに流される世界中で起きた戦争による犠牲者の映像は我々の心に深く突き刺さります。

敗北した男とは

ヒトラー

世界が立ち上がって阻止した野望を持つ男はアドルフ・ヒトラーに間違いありません。

この作品のプロローグは人々を魅了するヒトラーの多くの動画で始まっていることからもそれは明らかです。

この怪物は当時民主主義を素晴らしいい形で具現化したといわれるワイマール憲法の下で産み落とされたことを忘れてはいけません。