三つのサプライズを見てみましょう。
クリスマスパーティの開催
アナとエルサはやっと昔の姿に戻ったアランデール城で盛大にクリスマスパーティを催し、国民を驚かそうとしました。
パーティの開催は国民を驚かすため秘密にされていました。二人の国民に対するサプライズなクリスマスプレゼントだったのです。
アナとエルサは国民たちがこのサプライズを心から喜んでいくれると考えていたのでしょう。
それはまた二人にとっては国民と一体感を持てる喜びにも繋がっていたのです。
参加しなかった国民
国民の多くもそのような二人の気持ちはわかっていたはずです。
ではなぜ彼らは二人が計画したパーティに参加せず、それぞれ帰路についたのでしょうか。
ここにこの物語の本質的な意味が隠されています。
家族の伝統は家族だけのものであり、他人と共有するものではないのです。
そしてクリスマスはそのような家族の伝統をそれぞれの家族が再確認するシーズンなのではないでしょうか。
家族の伝統を持たないアナとエルサにはそれが理解できていなかったのではないでしょうか。
一方で国民の方もアナたちが自分たちのような家族の伝統を持っていないことを十分に理解できていなかったのかもしれません。
あるいは国民たちは王室の伝統を邪魔してはいけないと考えた可能性があります。
参加しないことが喜んでパーティに参加してくれると踏んでいたアナとエルサに対する国民からの一つのサプライズだったともとれるのです。
オラフが探しに出かけたもの
そのようなアナとエルサを見てオラフは二人にサプライズなプレゼントを贈ろうと考えたのです。
オラフは二人が持たないと考えている家族の伝統を贈ろうと考えたのでしょう。
もちろん家族の伝統はよそから借りてくるものではないことは明らかです。
オラフの滑稽な伝統探しのドタバタがこの物語の悲壮感を一層高めているようにもうかがえます。
でもこの徒労に終わるオラフの行動が我々に真の家族愛とは何かを考えさせてくれるのです。
クリスマスの伝統
ここでそもそも伝統とは何かを考えてみましょう。
国民がアナたちの準備したパーティに参加せず、大事にしようとした自分たちのクリスマスの伝統とはどのような存在なのでしょうか。
オラフが危機に陥っているにもかかわらずクリストフの行動がさほど真剣味を帯びていなかった理由とも関係がありそうです。
クリストフの場合
オラフはアナとエルサにとっては家族同然の存在です。二人が何をさておいても彼の危機を何とかしようと考えるのはある意味当然といえます。
ではクリストフにとってはどうなのでしょうか。