世間から変わり者とつまはじきにされていたレッドが、いつの間にか英雄になっていくプロセスにもスポットをあててみます。
マイティ・イーグルの思惑
マイティ・イーグルは唯一の飛べる鳥です。
島が危機に陥ったときにはどこからともなく飛んできて、鳥たちを守ってくれるとされています。
でもそれは伝説であって、本当にそうなのかどうか誰も知らないのです。
英雄像にはこのような一種幻想に支えられている側面があります。
実態は別にして、皆がそのように信じればそれは英雄になってしまうのです。
さて、そのように英雄にまつり上げられたマイティ・イーグルの心情はどのようなものなのでしょうか。
人情(鳥情)として世間が自分をそのように見ている以上、それを裏切ることはできません。
でも肉体は歳とともに衰え、実際はまともに飛ぶことすらできないようになってしまいます。
それでも何とか期待に応えようとするのです。なんともはや哀れといえば哀れです。
物語では結局この英雄はいいところを見せることができますが、いつもそうなるとは限りません。
「行動しないのは皆に自立する自覚を持たせるためだ」などと言い訳をし、行動を起こさないで英雄像を維持しようとすることもあり得ます。
レッドに見る英雄像
島の危機にあたってレッドは卵奪回のために、鬼退治ならぬ豚退治に出かけます。
彼はここで突如英雄に変わったのではありません。
もともとレッドはそのようなキャラクターだったのです。
物事の本質を冷静に観察し、おかしいものはおかしいと感じ、怒るべきときには怒るのがレッドそのものだったのではないでしょうか。
マイティ・イーグルの出番が来ると判断されれば険しい山も登ってマイティ・イーグル探索に出かけるのです。
もちろん豚に奪われた卵を取り返すために乗り出すことにも何の躊躇もありませんでした。
変わったのはレッドを見る世間一般の目の方でした。
レッドは変わらなくても彼を見る世間の目が変われば彼はそこで英雄になるのです。
なぜレオナルドはイベントでレッドを指名したのか
レオナルドはこの島で最もやっかいな存在は幻想に惑わされないレッドであることを見抜きます。
レオナルドはレッドをその場から排除する必要性を感じて、スリングショットのイベントで敢えてレッドを指名したのです。
彼の目論見通りレッドはスリングショットで弾き飛ばされてしまいました。
ひな鳥たちのメッセージ
ラストシーン近くで大勢のひな鳥たちがレッドを讃える歌を歌います。
このひな鳥たちはレッドたちが救出した卵から孵化したものに違いありません。
親鳥たちが卵を奪還した英雄としてマイティ・イーグルの像を建てる中で、ひな鳥たちは真の英雄がレッドであることを知っていたのです。
レッドもこれを受け止め、頼り・頼られる人間(鳥)関係の重要性に気づいたのではないでしょうか。