このひな鳥たちの行動がレッドを再び島のコミュニティに呼び戻すことに繋がりました。
レッドが皆に受け入れられたわけ
レッドと島のコミュニティとの関わりはレオナルド事件で変化します。
レッドの方は島の皆に心を開くことに抵抗を感じなくなりました。
島のコミュニティもレッドをコミュニティのメンバーとして受け入れる準備ができたようです。
新しい関係を築くことができた背景を探ってみましょう。
自分でいることの難しさ
レッドは自分が自分のままでいることと、島の皆に受け入れられる存在になることの狭間で気が晴れない毎日を過ごしていました。
自分が自分本来のキャラクターを維持し続ける限り、島の皆とはギクシャクした関係になってしまいます。
かといって彼は自分を偽ってまでも島のコミュニティに入れてもらおうとしなかったのです。
だから皆とは離れて渚近くに居を構えたのでしょう。
これは我々が学校や地域・職場・家庭などのコミュニティのメンバーである場合によく経験することです。
多くの人はある程度自分に折り合いをつけてコミュニティに溶け込もうとします。
そういう意味ではレッドはやや頑なだったのかもしれません。
でも、その頑なさがレオナルドの陰謀を暴き、島の危機を救うことに繋がったともいえます。
彼が島のメンバーと同じようにレオナルドの提供するサービスに乗せられていたら、彼が島の英雄になることもなかったのです。
コミュニティと個
レッドが島のコミュニティと折り合いをつけられたのは、島の皆の彼を見る目が変わったことに加えて彼自身が変わったことが要因です。
島の皆はレオナルドの陰謀を最初から怪しんでいたレッドを見直し、自分たちの行動を恥じます。
一方レッドもチャックやボムたちと協力して卵奪還作戦を実行に移す過程で、頼り・頼られる関係の素晴らしさを実感するのです。
ひな鳥たちの感謝を込めたレッドに向けたメッセージも、彼がコミュニティに帰る切っ掛けを与えたことでしょう。
レオナルドたち
レオナルドたちは鳥たちにとっては一種の黒船です。
それまで閉じられていた平和な島に外部の風が吹き込んできたといえます。
性善説に基づいた自分たちだけの価値観ではやっていけない時代が到来したのです。
これからは見かけだけに欺かれないレッドのような人材が必要になることは間違いありません。
新しい英雄伝説が生まれるかもしれないのです。
人間社会へのアイロニーが込められた【アングリーバード】
【アングリーバード】は我々人間社会においてもありがちな個人とコミュニティの関係に切り込んだ作品です。
笑いの中に考えさせられる要素を盛り込んでいます。
さて、レオナルドたちは悪巧みを止めそうもありません。
これまで閉鎖された空間であった鳥の島は最早グローバル化の波に晒されることになったのです。
レッドたちがこの新しい世界にどのように立ち向かっていくか楽しみです。