ストーリーの進行とともに変化していく本の種類ですが、途中から鍵を握るのは2冊だけになります。
その変化も見ていきましょう。
変化の順は?
最初の列車のシーンで読んでいるものは「BETWEEN THE WORLD AND ME」「世界と僕のあいだに」という本です。
これは大変難しい哲学書で、のちにマイルズにプレゼントされる「鍵を握る本」の1つです。
運転席で読んでいる本は「リフト」。
まさにこれから人を運ぶという意識を高めるためでしょう。
自宅で読んでいる本は「シッダールダ」という仏教の思想書です。
そして本屋で頼み、最後のシーンでも手元にあるのは「失われた時を求めて」という本です。
元殺し屋でも救われたい
とても読書家で発注書を新しくしなければならないほどのマッコールですが、彼はそこまで本に何を求めているのでしょう。
彼が読んでいる本は哲学書や思想書ばかりです。
そして自ら牧師の姿に扮したりするところや、スーザンに心の穴を指摘されているところから、彼が望んでいるのは「心の救い」であることがわかります。
命令のままに人を殺してきた彼は誰よりも良心の呵責に苦しんでいるのです。
そして、元チームメンバーが別の組織の殺し屋となる中で1人「タクシードライバー」という一般職を選びます。
彼の良心から「悪」は見過ごせませんが、それでも人を殺した罪を償って、大切な人を亡くして傷ついた心を修復したいと考えているのです。
だから彼は殺し屋ではなくタクシードライバーに転職したのです。
マイルズ青年との関係は?
街のギャングから足を洗って教育をきちんと受けるべきだと説く姿はまさに父親です。
さらに「人種は人種主義のこどもであってその父親ではない」という1節から始まる「世界と僕のあいだに」をプレゼントしました。
遠回しに「その本が読めるくらい学をつけろ」と叱咤していると考えられます。
これは隣人というより、親子に似た関係でしょう。
マッコールは元殺し屋として未だに心の傷に苦しんでいます。
だからこそ、同じ黒人の彼が自分のような「殺し」の世界に足を踏み入れて傷つくのを見たくなかったと考えられるでしょう。
イコライザーというよりも…
前作「イコライザー」は「悪を絶って世界の均衡を図る」という「EQUOLIZE」がテーマでした。
しかし今作「イコライザー2」では、世界の均衡というよりもマッコール自身の「心の均衡」の図り方がテーマとなっています。
殺し屋だって心があると叫ぶ作品はとても珍しいです。