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細田守監督・脚本の長編アニメ映画である『おおかみこどもの雨と雪』は、『サマー・ウォーズ』の3年後に公開されました。
興行収入は42億円を突破するなどと話題となった作品です。
花はなぜ狼の子供を産むと決めたのでしょう。
そしてそんな花の変わってく心情……監督はどんなメッセージを伝えたかったのかじっくりと解説していきます。
出産で花は「愛」を形にしたかった
花はおおかみおとこを愛してしまいますが、なぜ子供を産もうと決心したのでしょう。
産まれてくる子供が、おおかみこどもとなる不安はなかったのでしょうか。
劇中では語られなかった真意を考察していきます。
おおかみこどもの行く末は心配してなかった
半分おおかみの血を引くことになる我が子……。
通常なら産むべきか産まざるべきか悩むところです。
人間社会で上手くやっていけるか、子供たちに重い負担がかかるのではないかと、悩むのが母性をもつ女性です。
なぜ花は産むことにしたのか、観る者によって様々な考察が出来るのではないでしょうか。
彼が望んでいたから
花は両親を亡くし、親戚とも疎遠な関係にあるのでしょう。
ひとりで生きることはとても孤独で寂しいものです。
劇中では愛する彼にぞっこんな姿も描かれており、彼が家族を望むなら、という献身的な気持ちがあったのかもしれません。
子供のことは考えなかったのか、と批判されそうですが女性は妊娠するまで母親としての本当の母性は生まれません。
恋する女性として彼を受け入れたかっただけでしょう。
苦労を理解していなかった
花は目の前の幸せを掴むために、おおかみおとこと関係を持ちました。
子供がおおかみこどもとして産まれたとしても、少し苦労するかなという程度に考えていたのかもしれません。
彼が人間社会の中で上手くやっている姿を見ていれば、余計そう感じるでしょう。
実社会でも、子供への憧れを抱き出産する女性が産んでから苦労に泣く話はよくあるものです。
花自身が家族を欲していた
天涯孤独の花は、家族という絆を求めていたのでしょう。
自分と愛する彼の血を引いた子供、家族という暖かな幸せを掴みたかったのです。
彼が亡くなるまでは、確かに幸せに包まれた理想の家族像でした。
おおかみこどもでも愛されることを知っていた
花は、自分がおおかみおとこに対して偏見や嫌悪感を抱いていません。
だから産んだ子供たちも、きっと愛されるだろうと考えていたのでしょう。
花自身のように、おおかみの血を引く者でも受け止めてくれる人が現れると知っていたとも取れます。
排他的な花を通した実社会
彼をなくしてから花は排他的になり、周囲から離れていきます。