呉服屋の娘である舞は、昔からの呉服屋を継ぐという重圧を背負っています。
舞の姿はまさに現代の若者で、失われつつある伝統を継ぐという選択に悩んでいます。
彼女は実家をいずれは継ぐべきだと頭では理解しつつ、やりたいことが見つからないまま全てが嫌になってしまいます。
友人が就職活動に失敗ばかりしている中で自分だけは苦労せずに決められた道を進むことも辛かったのでしょう。
古都を残すとはどういうことか考えさせられるシーンです。
外に出ることで古都の良さを知る
一度も京都から出たことのない舞に、パリへ行くことを勧める竜助が京都人について話すシーンがあります。
京都の人間はほんまもんに囲まれて目は肥えてる。
京都から出てみんと何がしたいとか、何がやりたいかわからん。
引用:古都/配給会社:DLE
幼少期からさまざまな習い事をしてきた舞にとって、その日々は当然でありながらも窮屈なものだったのでしょう。
書道の先生と訪れたパリで見事な日本舞踊を披露した時に、舞ははじめて自分がどうあるべきかを悟ったのではないでしょうか。
外から、京都の文化に触れて気づくことが出来たのです。
外の世界に出て京都を見たことにより、再度京都へと戻ることを決心したのです。
この舞の経験は、古都の辿るべき姿ではないでしょうか。
観光地として開発が進む中、何を残すべきか何を作らないべきか外の世界をみないと気が付かないのです。
離れてみて初めて分かる古都の良さは、本来あるべき古都の姿なのではないでしょうか。
結衣の体現する「古都」
パリへと留学している結衣はパリという古都で悩んでいます。
パリは現在もフランスの首都であり、そこには京都とは違った古都が残されていました。
古き伝統の息づくパリ
パリは京都と違い、現在も首都として息づいてる古くからの都です。
結衣が学んでいる絵も古くからパリで愛されていました。
モンマルトルの丘などは有名画家たちがアトリエを構えた場所として現在も愛されています。
結衣はこの町で古都とは何かを体現しています。
友人の言葉
過去の出来事もすべて今に繋がっている
引用:古都/配給会社:DLE
学校の友人が上記のように伝えてくれますが、この時の結衣の心には響きませんでした。
しかしこのことはまさに古都の姿です。
今が存在するために過去がある、古都はただ古い町という意味ではありません。
古くからの伝統が生きている街という意味なのです。
京都の絵を自由にかくという心理
結衣は自由に故郷の京都を思い出し、作品に活かすことが出来ています。