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「バーフバリ 伝説誕生」はバーフバリ2部作の1作目として2015年に公開されたインド映画。
映画大国のインドで歴代興行収入最高額を達成した大傑作です。いまや知らぬ人はいない世界中の誰もが認める作品となりました。
豪快な戦闘シーンやインド映画の魂ともいえる歌と踊りのシーンが印象的な正統派インド映画の本作。
日本人の目線で観ると主人公シヴドゥの行動には首をかしげる不可思議なところも少なくありません。
どうにもスッキリしないと思われた人もいるでしょう。
この記事では、シヴドゥが滝の上に焦がれる理由をはじめとする、その行動の理由や意味に迫ってみます。
インド映画とヒンドゥー教の神話
インド映画は根底にヒンドゥー教の神話をベースとしている作品が数多くあります。
「バーフバリ 伝説誕生」は古代インド風のファンタジーとも呼べる作品で、とくにヒンドゥー教の神話の影響が色濃く見られます。
ヒンドゥー教の神話から考察する「バーフバリ 伝説誕生」
「バーフバリ 伝説誕生」をヒンドゥー教の神話から見ると、一見不可思議に思えるシヴドゥのさまざまな行動に意味があることがわかります。
例えば、シヴドゥがカッタッパ将軍の頭の上に足を置くシーンです。
日本人にとっては不可解な行動ですが、これは最上級の忠誠の証を示しています。
決してシヴドゥがサディスト、カッタッパがマゾヒストという訳ではありません。
ヒンドゥー教の神話には、神が足で踏むという行為がよく登場します。
魔王の頭の上に足を置くヴィシュヌ神の化身ヴァーマナ、夫を踏む殺戮と恐怖の女神カーリーなどです。
実は足に触れるという行為は尊敬を表現しています。
ヒンドゥー教では身分の高い人へ挨拶するときなどに身をかがめて足へ触れたりします。
踏まれるという行為は最上級の忠誠の証なのです。このようにヒンドゥー教の神話から見るとシヴドゥの行動が理解できます。
ヒンドゥー教とは?
インド映画に強い影響を与えるヒンドゥー教とは、どのような宗教なのか気になるという人も多いでしょう。ヒンドゥー教について説明します。
ヒンドゥー教はインドの8割近い人々が信仰している、世界で3番目に信者が多い宗教です。
仏教と同じ多神教で、輪廻や解脱といった考え方や有名なカーストという身分制度を持っています。
近年ではブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの3大神を信仰していますが、ブラフマー神を信仰する人は少なく、ヴィシュヌ神とシヴァ神が2大神として多くの信者を得ています。
ヒンドゥー教の神話がもたらす影響力
ヒンドゥー教の神話がインド映画にもたらす影響は非常に大きく、インド映画のいたるところにその影響が垣間見られます。
日本のエンターテインメント作品でも、ゲームやアニメなどに、シヴァ、クリシュナをはじめとしたヒンドゥー教の神々が登場することは少なくありません。
北欧神話やギリシャ神話などに比べると日本人のなじみは薄いですが、ヒンドゥー教の神話もエンターテインメント作品には強い影響力があるのです。
シヴドゥが滝の上に焦がれた理由
ここではヒンドゥー教の神話という観点を加味して、シヴドゥが滝の上に焦がれた理由へ迫ってみます。
アヴァンティカへの想いが滝の上に焦がれた理由ではない?
その仮面の顔の主アヴァンティカにシヴドゥは恋焦がれるようになります。
シヴドゥはアヴァンティカの幻影に導かれて恋の滝登りを達成しますが、アヴァンティカへの恋が滝の上に焦がれた理由ではありません。
確かにアヴァンティカへの想いはシヴドゥが滝を登ることになった大きな要因のひとつですが、子供の頃からシヴドゥは滝に登ろうとしていました。