出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01EFL9ZSC/?tag=cinema-notes-22
宇宙版『ロビンソン・クルーソー』とも言えるほど緊迫感に満ちた『オデッセイ』。
ワトニーがMAV(火星上昇機)に登場して火星から脱却するシーンは、手に汗を握るものでした。
しかし、そのMAVについて疑問に思う方も多いようです。というのも、本編はアレス3のクルーたちがメインの作品。
なぜ、そこにアレス4に関わるMAVがあるのか、そして誰がそれを打ち上げたのかは詳しく語られていません。
さらに本作の疑問点があります。それはエアロックの気圧爆発以後、じゃがいもがなぜ再生産できなくなったのかという点です。
アレス4のMAVとじゃがいもの再生産、この2点について考察していきます。
すでに動いているアレス(火星探索計画)
本作はアレス3の計画進行途中に起きた事故です。実はアレス3が実行されているときには、同時進行でアレス4も動いていました。
それらを詳細に説明するシーンが、火星一の植物学者ワトニーから多く語られています。
アレス計画は4年ごとの周期
アレス3にしろ4にしろ、アレス計画は4年ごとに行われています。
NASAと交信する手段がない。たとえあったとしても、有人ミッションでの迎えは4年後になるだろう
引用:オデッセイ/配給:20世紀フォックス
これはワトニーが取り残された1日目のハブ(居住空間)でのセリフです。
この言葉から、すでにアレス4の計画は立っており、4年後には他の宇宙飛行士が火星に来ることは決定していることが分かります。
では、この4年の間に何を準備しているのでしょうか。
MAV(火星上昇機)は燃料生成に時間がかかる
MAVは火星からヘルメスに戻るために必要な機械です。その燃料は、地球から持ち込んだ水素と火星の大気を混合させて生成します。
火星の大気と水素を混合させ、燃料を生成するのには約18か月かかり、一年以上の時間が必要です。
つまり、MAVは有人ロケットが打ち上げられる前に、先に火星に着陸しておかなければなりません。
では、アレス4のMAVはいつ着陸していたのでしょうか。
アレス4が実行される「3年前」にはMAV到着
アレス4で火星から帰還するために必要なMAVは、実行3年前には火星に到着していました。
アレス4のMAVで帰還する計画を聞かされたワトニーは、このように考えます。
アレスミッションでは3年前からサプライを送る。僕たちより先に物資を送っていた方が簡単だとNASAが判断したから。で、その結果アレス4のMAVはすでにスキャパレリ・クレーターにあって
引用:オデッセイ/配給:20世紀フォックス
火星での生活に必要なサプライ(物資供給)は、3年前には打ち上げられています。
燃料生成と早めの物資送還のために、アレス4のMAVがすでに着陸しているのです。
アレス4の予算
NASA火星探査統括責任者カプーアやNASA長官サンダースは、NASAの運営に関わる人たちです。
二人がアレス計画について会話するときには、世間体や予算の話が上がります。
ワトニーの生存を知らない時点での会話では、ワトニーの事件をアレス5や6の予算面にどう活かすかを考えていました。
逆に言えば、アレス4の資金面はすでに予算で通っているということです。
アレス4のMAVが発射されていることに、お金の面からの心配がないことは、二人の会話から分かります。