1200年周期で訪れる彗星落下の危機。2013年以前にも2度の彗星落下が糸守町を襲っていました。
なぜ3度も同じ町に落ちるのかという疑問は、この彗星の名前によって解くことができます。
彗星の名前「ティアマト」はメソポタミア神話における創造神です。ティアマトは戦に負けた際にその体を2つに引き裂かれました。
このことから片割れを糸守町に落としたティアマトは、引き付けられるようにして1200年後の糸守町に落下したのです。
自分の半身を探すイメージは瀧とみつはの運命を示しているのかもしれません。
なぜお互いを忘れてしまった?
映画ではごく自然に描かれていますが、瀧とみつははなぜお互いのことを忘れてしまうのでしょう。
大切なものを失う運命
みつはのお婆ちゃんは口噛み酒を奉納する時に、入れ替わっている瀧(みつはの体)に「一等大切なものを失う」と告げています。
瀧とみつはにとって一等大切なものは、二人で紡いだ記憶だったという訳です。
二人は大切な記憶と引き換えに、街の皆の命を守ったことになります。
夢
入れ替わりの条件の1つが「夢を見ている時」でした。彼らは夢の中で行き来できるだけなのです。
目が覚めるとお互いの存在を忘れるという儚い設定ですが、夢での出来事をほとんど忘れてしまうのは自然なこと。
また夢を見るのは脳がその人の見聞きした情報を処理しているからです。
2人はお互いの存在を忘れていますが、かすかに懐かしい感情が残っています。
もしかしたら脳の奥深くに彼らの想いが情報として保管されているからかもしれません。
歴史の改変
2013年の彗星落下の事実を書き換えたことで、その後の歴史が変わってしまいました。
もう2人は出会う必要がなくなり、出会ったという事実も消えてしまったのです。だから記憶が残っていないのは当然。
しかし何の接点もなく、もはや交わる理由もない2人が「君の名は…」といって惹かれ合うのはなぜでしょうか。
それは歴史という名の情報が失われても、彼らの心があの日々を忘れていなかったからなのかもしれません。
組紐がすべてをつないだ
瀧とみつはを結ぶものとして組紐は重要なアイテムになっています。
組紐が二人をつないだ
入れ替わりが起こる3年前、瀧は知らない人(みつは)にもらった組紐を手首に巻いています。
なにか心に引っかかるものを組紐に感じていたのかもしれません。
組紐は瀧とみつはが出会う時に必ず登場しています。3年ずれている時間軸を捻れさせて2人を引き合わせる特別な紐。
これがなければお互いに自分のいる時代から出ることはできなかったでしょう。
組紐とは
時間軸をつなぐ組紐ですが、組紐は日本の伝統工芸のひとつです。複数の糸を紡ぎながら一本の組糸を完成させます。