同じく同性愛者であり20世紀最大の詩人とみなされているオーデンの詩を朗読することで、ガレスへの愛の深さを表現していました。
式に先立ち、周囲からガレスがどのようにみられていたのかを聞いてそれを紹介するシーンがありました。
それは、彼の人生には真実の姿を知る友人と、深い結びつきをもつ自分がいたことを、彼の魂に届けるためだったのかもしれません。
この葬儀をきっかけとして主人公のチャールズは、自分の「愛と結婚の在り方」について深く考察し始めます。
チャールズは完璧な二人でなければ結婚はしない方が良いし、「真実の愛を待つのは無駄かもしれない」と思うようになったのです。
4つ目の結婚式
4組目は主人公チャールズと元彼女のヘンリエッタの復縁カップル。
ガレスの死をきっかけに自分自身の「愛と結婚の在り方」について答えを出しかけていたチャールズ。
しかし、ボタンをどう掛け違えたのかヘンリエッタとの結婚に歩を進めます。
4つ目の結婚式が描いている愛と結婚の在り方
完璧な愛を求めていたはずのチャールズは、完全に自分を見失います。
結婚をしたいと思った相手が富豪と結婚をしてしまったことと、友人の死。
そんな出来事から、結婚を迫られて別れを切り出した相手との愛のない結婚に踏み切ろうとします。
結婚式の当日、式が始まろうとしているときに失恋をした相手が離婚をしたことを知り、激しく動揺をするチャールズ。
ここまで煮え切らない優柔不断でズルい男もなかなかいませんが、しかし、これこそが彼なりの結婚に対する誠意のようです。
神父の前で結婚の誓いをする儀式で宣誓をせずに拳で殴られ、完全にアウトのタイミングで「愛と結婚の在り方」に気づきました。
チャールズは「結婚」という形式に自分が不向きであることにようやく気づいたのです。
チャールズが出した結論は何を意味するのか
「好きな人と、結婚する人。それは同じ人なのか?」
結婚を考えている人は、この問いかけに悩むこともあるのではないでしょうか。
もしくは、心の中で「この人が、本当に運命の人なのだろうか」とマリッジブルーに陥る。
この映画を観ても愛や結婚の在り方の答えがあるわけではありません。
しかし、心の中に何かが残ったのなら、それはあなたなりの「愛や結婚の在り方へのヒント」になるのかもしれません。
チャールズの優柔不断ぶりが、人生において大切な選択をするときには自分の気持ちに正直になるべきだと教えてくれたのです。
今作が伝えている、愛と結婚の在り方
今作が伝えている「愛と結婚の在り方」には決まった正解があるわけではなく、それぞれにとっての適切な形があるということです。
映画を観て「こんな優柔不断な男は許せない!」、「こんな女のどこが良いの!?」なんて感情的になるのも楽しみ方のひとつです。
一方で、感情から少し距離を置いてみると人それぞれの「愛や結婚の在り方」があることに気づきます。
この映画は、1つの伝統的な正解(現時点での常識)であっても必ずしも幸せになるわけではないと問題提起しています。
そして、世の中に寛容の精神を持ってもらいたいというメッセージを届けているのではないでしょうか。