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1981年に公開され、翌年のアカデミー賞で監督・撮影・視覚・音響効果・編集・音響・脚色の6部門にノミネートされたドイツの戦争映画『U・ボート(原題:Das Boot)』。
数ある潜水艦を舞台にした映画の中でも、そのリアルさと臨場感からマニアからも高く評価されている作品です。
さらに本作品は、原作者が第二次世界大戦中に実際に取材を通して体感した生きる人々のリアルを描いた内容となっています。
今回は、1997年にディレクターズ・カット版も公開された『U・ボート』を、ウォルフガング・ペーターゼン監督が映画を通して視聴者に伝えたかった想いとともに考察していきます。
第二次世界大戦下のドイツ軍を描いた作品
今回ご紹介する映画『U・ボート』は、1939年から1945年まで続いた第二次世界大戦下のドイツ軍を描いた作品です。
Uボートとは?
タイトルにもなっているUボートとは、第一次世界大戦と第二次世界大戦に使われたドイツが保有している潜水艦のことを表しています。
この潜水艦に詰んでいたのは、魚雷という水中を自走して目標物を命中する水雷。
敵に見つかりにくいという特徴を持ち、メリットが大きいといわれていました。
しかし、実はデメリットも大きく、死傷者を大量に出した潜水艦でもあります。
取材を基に制作された映画
『U・ボート』が誕生した背景には、実際にUボートに乗船した原作者の取材記録がありました。
実際にUボートに同行した原作者
『U・ボート』の原作者は、ドイツの小説家・ロータル=ギュンター・ブーフハイムです。
彼は実際に、1941年に海軍報道班員としてU-96という潜水艦に同行。そこで彼が行った取材を基に、制作されました。
映画に出てくる海軍報道班員のヴェルナー少尉は、ブーフハイム自身を描いたキャラクターです。
大切な人を想う乗組員の姿
劇中で一番胸が苦しくなるのは、乗組員たちが自分の大切な人を思い出すシーン。
それぞれが大切な人の写真を持っていて、時折それを眺めている姿は観ている人の心を掴みます。
過酷なUボートでの生活
映画の中で描かれるUボートでの、乗組員たちの生活はとても過酷なもの。ここではいくつか、その過酷さを表しているシーンをご紹介します。
狭く息苦しい艦内
艦内は、長い間そこで40人以上の乗組員が過ごすためかなりの広さがあると思っていた方も多いと思います。
しかし、映画を観ると分かるようにU-96はとても狭く息苦しそうな艦内です。
食事をしていても、誰かがそこを出る時には通路の人が立ち上がらなければならない程の狭さなのです。