出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07CFYB1QQ/cinema-notes-22

『メッセージ』は、2017年に日本で一般公開されました。

しかし、その前に第29回東京国際映画祭の特別招待作品として先行上映が行われました。

監督は2017年公開の『ブレードランナー2049』でも知られているドゥニ・ヴィルヌーヴです。

初めは宇宙戦争ものかと予想されていましたが、次第に物語の巧妙な展開につい惹きこまれてしまう今作。

今回はループ構造と悲劇の未来が見えたにも関わらず決断した主人公ルイーズの心情も徹底解説します。

物語はループ構造になっている

映画の場面展開と物語の本当の流れ

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まず初めに『メッセージ』の映画の場面展開と物語の本当の流れは異なっています

今作品の場面を大きく3つに分けられます。

1つ目は「娘の誕生・死」、2つ目は「宇宙船の到来と知的生命体とのコンタクト」、3つ目は「主人公の結婚・離婚」となります。

映画の場面展開は「娘の誕生・死」→「宇宙船の到来と知的生命体とのコンタクト」→「主人公の結婚・離婚」となります。

そのため観た人は「主人公の結婚と離婚が最後なら、冒頭の場面にループするのでは?」と考えさせられます。

物語の一般的な構成は「過去→今→未来」とわかりやすいです。

しかし、ループ構造の物語だと「物語の起点」がわかりづらくなっています。

そこで整理すると、本作の流れは以下のようになります。

  1. 「宇宙船の到来と知的生命体とのコンタクト」
  2. 「主人公の結婚・離婚」
  3. 「娘の誕生・死」

つまりこの物語の起点は「宇宙船の到来」となるのです。

ループ構造とは

なぜ映画の場面展開をループ構造にしたのでしょうか。

これに関しては劇中のルイーズの台詞がヒントになっています。

人は時の流れに縛られて生きてるけど…

でも時に”流れ”がなかったら

引用:メッセージ/配給会社:パラマウント

つまりこの映画では、時間とは「過去→今→未来」という一方的な”流れ”ではない、ということを言及しているのです。

物語を理解する鍵となるのは与えられた”武器”

ルイーズが与えられた武器とは

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今作品を理解するうえで重要なのは、ルイーズが知的生命体から与えられた”武器”が何かを理解することです

そしてルイーズが与えられた武器こそ「未来を見る力」なのです。

映画の中でルイーズが何かを与えられるシーンはありませんでした。

それもそのはず、知的生命体は彼らの”言語”と”思考”を教えることで、人類に「未来を見る力」を与えようとしたのです。

そしてルイーズは言語学者として、誰よりも早く彼らの”言語”と”思考”を理解し、その力を手に入れました。

サピア=ウォーフの仮説

ルイーズと同じく知的生命体の意図を探ったイアンは、ルイーズと「サピア=ウォーフの仮説」について話しました。

「サピア=ウォーフの仮説」とは「話す言語で思考が変わる、モノの見方が変わる」という実際にある学説です。

ルイーズはまず知的生命体の”言語”を理解しました。

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