忠直は一国にも代えがたいと溺愛したようです。さらに血を好む一国の為に罪のない民を虐殺したという逸話が残っています。
劇中に登場するお国はこの一国からの着想で名前が付きました。
劇中では一国同様に、無門を虜にし無門に国を揺るがす行動をとらせています。
無門の名前の由来は強さの証
主人公無門の名前は、彼の本名という訳ではありません。ねずみ同様に孤児として買われているので名が無いのです。
無門の名は、彼の強さを示めすあだ名です。
無門は、どんなに不落と呼ばれる門でも簡単に開け、固く閉ざされた門も楽々忍び込んでいきます。
このことから「門」は彼にとってなきも同然という意味を含んでいます。
伊賀の忍びは実際に人でなしだったのか
伊賀忍者は劇中では子供に毒矢を向けたり、下山次郎兵衛の死に何も感じなかったりと、まさに人でなしとして描かれています。
またお金の為に何でもするといった悪の部分が強調されていますが、実際の伊賀者たちは本当に人でなし集団だったのでしょうか。
ルーツは黒田の悪党
鎌倉時代、伊賀を治めていた東大寺は力を付け朝廷を無視し領土を拡大します。
その一部である黒田荘園の警護を任されたのは大江一族(百地家祖先)です。
やがて大江一族は勢力を拡大し、東大寺をも脅かします。黒田の悪党と呼ばれた彼らこそ伊賀忍者の先駆けなのです。
野蛮な民とされていた?
歴史書には彼らのことを乱暴で強盗を行い、人に顔を見せずに悪行を働くと記されています。
しかしこれは敵方である東大寺の僧侶が残した話なので、信憑性は低いかもしれません。
事実、悪党が狙ったのは東大寺に運ばれる年貢であり、あたりかまわず悪事を働いていた訳ではなさそうです。
一族の結束は固いものだった
無法地帯ともいえる伊賀の地は生き残る為に、強さを求められました。敵に対しては残忍な手段に出ることもあったでしょう。
そんな中同一姓を持つ者たちは結束し、自らを守っていたようです。
劇中では身内であってもないがしろにする姿が描かれていますが、実際は身内を大切にしていたのではないでしょうか。
伊賀の本質をえぐる異色の忍者映画
「忍びの国」はこれまでの忍者のクールで謎多き 姿を一変し、残忍で卑怯な部分を前面に出しています。
より史実に近い忍者を描いた作品といえるでしょう。元となる歴史を深く知る事で面白さは倍増していきます。
歴史の影に存在する謎の伊賀者の姿が、身近にそして生身の人間として感じることのできる名作です。