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『イヴの総て』は1950年に公開された映画で、その素晴らしさは何十年も経った今でも語り継がれる名作です。
当時駆け出し女優のマリリン・モンローが端役で出演していることも、話題になっています。
ブロードウェイの陰謀渦巻く裏側を描く本作品、そのラストシーンに観る闇を解明していきます。
登場する女性たちの愛や野心に注目しながら、華やかなショービジネスの裏で渦巻く人間模様に迫ってみましょう。
ラストシーンに観る闇
イヴは演劇界から早々に手を引いてハリウッドにいきました。
栄光を手にしたイヴですが、映画のラストが意味する闇は何を意味しているのでしょう。
成功の裏には犠牲がある
イヴにとってカレンやマーゴだけではなく、演劇界そのものが踏み台だったのでしょう。
イヴは犯罪を犯したわけではなく、だれかを殺したわけでもありません。
しかし、彼女のやったことは褒められる事ではないのです。
女優としての成功の為に犯した罪といえるでしょう。
周りの人々を翻弄したことは、彼女にとっては自分の成功と幸福のために突き進んだ結果の出来事にすぎません。
ひとりの女優が成功を収める為には、多くの犠牲者が踏み台になってることを示唆しています。
鏡のなかの第二のイヴ
ファーゴはイヴのコートを身につけて鏡に魅入りますが、その姿はかつてのイヴの姿を彷彿とさせます。
イヴがしてきたことを、今度はイヴがされる番だというのがありありとわかりますね。
そして、鏡のなかにいるのは富と権力と名声を求める無数の女たちです。
イヴのような野心家で取り入るのが上手い女性は、常に側で上の者を引きずり降ろそうとしているのです。
時代を経て、世代を超えて同じことが繰りかえされるということでしょうか。
人を落とすやり方ではすぐに足をすくわれる
イヴは確かに実力があったのかもしれません。
しかし彼女のやり方は、人を落とすことで自分が選ばれるというやり方です。
この方法では自分は本当の高みには登れないでしょう。
だから、ラストシーンではそんな彼女を蹴落とす存在が示唆されているのではないでしょうか。
大女優マーゴの不安と愛
マーゴは押しも押されぬ大女優で、豊かな才能をもちたくさんの人に愛され成功をおさめています。
そんな彼女はどんな不安を抱えていたのでしょう。
年を取り仕事を失うこと
イヴの出現が彼女の心の不安を大きくしたのですが、マーゴはすでに心の奥に加齢への不安を抱えていたのではないでしょうか。
美しさを売りにする女優ならではの不安です。