映画の原題を見てみるとドイツ語では「奇跡の生存者」という意味のDas wunderbare Überlebenとなっています。

国内でも小説としての発表はイギリス同様に「The Pianirt」というタイトルでしたが、2003年の映画化で「戦場のピアニスト」に変えています。

廃墟に響き渡る音色に何を感じたのか

「戦場のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック

映画のメインシーンともいえるシュピルマンのピアノ伴奏シーンですが、それを聞いたとき敵国の軍人は何を感じたのでしょう。

シュピルマンが出会ったのはホーゼンフェルト

シュピルマンが出会ったのは、ドイツの将校ホーゼンフェルトです。

映画では彼について詳しくは語られていませんでしたが、ホーゼンフェルトを知るものにとっては、彼がシュピルマンを助けたのは当然の行いだったと気が付くはずです。

ホーゼンフェルトは、シュピルマンに出会う前にポーランド人の祭司や家族を救ったりユダヤ人たちを秘密裏に支援していました。

狂気の中でも自分を見失わずまともな精神を保つことのできた人物だったのです。

ホーゼンフェルトのドイツ語は敬語だった

国内字幕で作品を観ると気が付きませんが、ホーゼンフェルトはユダヤ人であるシュピルマンに敬語で話しかけています

ドイツ語が堪能な方なら、この時点でシュピルマンが殺されないことを悟るのではないでしょうか。

ナチス・ドイツに属しながらも、ナチスの行いは間違いだと気が付き行動を起こしている人物です。

ユダヤ人に対しても尊厳を重視し接していました。

ホーゼンフェルトは何を感じたのか

ホーゼンフェルトは、シュピルマンの演奏を心から楽しんだのではないでしょうか。

その素晴らしい音色を聞いて、ユダヤ人を助けてきた自分の人生が間違っていなかったと再認識したのかも知れません。

また、自身もピアノを演奏するホーゼンフェルトは、世が世なら音楽を通じて大親友になれたはずだと感じていたのかも知れないですね。

目の前で真摯に演奏をするシュピルマンの姿は、人の強さや迫害への怒り、戦争のむなしさすべてを終結したものだったのでしょう。

シュピルマンの涙

ホーゼンフェルトが去った後にシュピルマンは涙を流しています。

殺されなかった安堵感もあったでことでしょう。しかしそれ以上にドイツ人に敬語で話しかけられ、人として尊厳されたことが嬉しかったのではないでしょうか。

また音楽が自分を支えてくれていると再認識し、こみ上げてくるものがあったのかも知れません。

実際のシュピルマンの演奏

映画では感情を表現するためショパンのバラードを引いていたシュピルマンですが、実際はノクターン2番を弾いたそうです。

下記の動画はシュピルマンの実際の演奏です。戦後の時が経ちこの時彼は86歳になっています。

劇中で語られる伏線

戦場のピアニスト

「戦場のピアニスト」はユダヤ人であるシュピルマンの半生を描いていますが、一人の人間の命の価値を問う作品でもあります。

この映画は命の尊厳が大きなキーワードといえます。

命の尊厳を主張するセリフ

ドイツ人将校ホーゼンフェルトによって生命の尊厳を取り戻したシュピルマンですが、劇中ではその伏線ともなるセリフが語られていました。

それはゲットーを脱出し隠遁生活を送っていた時のこと。彼を訪ねたポーランド人は下記のセルフを口にしています。

捕らえられて死ぬな、捕まったら毒を飲んで自分で死ぬ。

引用元:戦場のピアニスト/配給会社:アミューズピクチャーズ

捕まったら生きるよりも辛い生活が待っているという意味です。捕らえられ人に殺されるよりも、自らの手で人間として死ぬことを選べといっています。

人間の命への尊厳が込められた、重いセリフです。

シュピルマンとホーゼンフェルトのその後

「戦場のピアニスト」を救ったドイツ国防軍将校:ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯