第一次世界大戦で負けるとハプスブルグ家からの統治が消え、第一共和国(オーストリア)となります。
劇中に登場するトラップ大佐は海軍の退役軍人ですが、戦争の影響で、当時のオーストリアは海が取られて無くなりました。
その為に海軍だったトラップ大佐も退役したのです。
まさにこの激動の時代が、本作の舞台となっているのです。
世界恐慌
1929年、ウォール街での株の暴落をきっかけに世界恐慌が始まります。
ドイツも痛手を負い、当時のヒンデルブルク大統領が死亡後ヒトラーが台頭します。
トラップ家の破産もこの世界恐慌が原因でした。
第一共和国消滅
反ヒトラー派だった当時の第一共和国(オーストリア)首相ドルフスはナチス党員に暗殺され、第一共和国は消滅します。
以後ナチスドイツ軍は、徐々にオーストリアに侵略し1938年にはオーストリアを支配下に置きました。
ちょうどこの年、トラップ一家はオーストリアを脱出しています。
当時オーストリアにはナチスドイツを支持するものが多く存在していました。
ヒトラーがオーストリア出身であることもあり、ドイツのオーストリア併合を望む国民も多かったようです。
しかし、トラップ一家のように最後まで抵抗するオーストリア人も少数派ながら存在していました。
オーストリアで好かれていなかった
ミュージカル化もされ、世界的に大ヒットしている本作ですが、舞台となったオーストリアではあまり歓迎していませんでした。
その理由は2つあります。
- ナチス軍に抵抗した国民は、国を捨て逃げた家族をよくは思っていなかった
- ナチスドイツ軍を支援した国民たちは罪の意識を大きく感じてしまう
小国オーストリアは、国民の多くがナチスドイツ軍を歓迎したといわれています。
ユダヤ人の虐待など、後ろめたい思いを引きづっている人達も多くいたことでしょう。
戦争とは多くの人の心に傷を残すものです。
戦争に翻弄された映画
『サウンド・オブ・ミュージック』は実話ゆえに、様々な思いをはらんでいる映画です。
今日では戦争への思いも薄れつつあり世界中で親しまれています。
しかし背景や真実を知るほどに、様々な思いが交差した映画ではないでしょうか。
歌が注意される映画ですが、マリアたちの生き方に注目して観るとまた違った側面が見えてくるはずです。