出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00TNYVUBW/cinema-notes-22
2011年公開の『ドライヴ』は、デンマーク出身の監督ニコラス・ウィンディング・レフンの名を世界に知らしめた作品です。
小説をもとに不器用な愛や生き方を描いた話題作となりました。
極限まで贅肉がそぎ落とされ、主人公ドライバーには名前さえありません。
ドライバーが別れを告げたのはなぜでしょう。
そしてスタンダードを殺した黒幕の目的とは何なのか……徹底解明していきましょう。
別れを告げたのは運命を知っていたから
劇中でドライバーは、アイリーンに別れの言葉ともとれる電話をかけています。
なぜドライバーはアイリーンに別れを告げたのでしょう。
アイリーン達を不幸にしたくなかった
ドライバーは、闇に生きた人間です。
そんな中アイリーンとベニッシオは、ドライバーに明るい日常を与える存在でした。
君とベニッシオと過ごせたことが一番の幸せだった
引用:ドライヴ/配給会社:フィルム・ディストリクト クロックワークス
上記の台詞は、ドライバーの感謝の気持ちが現れています。
一緒に過ごしてくれてありがとう、という気持ちが伝わってきますね。
アイリーンに別れを告げなければ、自分は幸せでいれたドライバー……。
しかし、これから復讐という名の殺人を犯す自分と一緒にいれば彼女達は不幸になる、と身を引いたのです。
自分の性を悟っていたから
劇中には下記のサソリとカエルの寓話が出てきます。
カエルがサソリを背負って川を渡り始めた。ところが川の真ん中で、カエルは背中に痛みを感じ刺された(中略)サソリは言った。『分かってはいるけれどやめられない。それが俺の性(さが)なんだ…』
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/クライング・ゲーム
サソリは、自分も沈んでしまうと知りながら刺さずにはいられなかった、それがサソリの性なのです。
そして、本作品のドライバーはサソリなのでしょう
やってはいけないとわかっていてもついやってしまう、それが性というものです。
ドライバーはこれから先、自分が闇の世界から抜け出せないことをわかっていたはずです。
それが自分の性、だからこそ光の元を歩くアイリーン達に別れを告げたのでしょう。
アイリーンとはうまくいかないことを知っていた
劇中で、ドライバーの執拗な攻撃を目の当たりにしたアイリーンは、彼を恐れていました。
ドライバーの持っていた狂気を目の当たりにしたのです。
おそらくこの時の、恐怖はトラウマになるでしょう。
ドライバーは、アイリーンが自分を怖がっていたことも当然わかっています。
これから先、一緒になってもこの恐怖が心に残っている限り二人が心から結ばれることはないでしょう。
一緒になりたいけれど、先がないということを知った上での別れだったのかもしれません。
返り討ちに合うことを予期していた
命がけの復讐に向かうドライバーは、もしかしたら自分も死ぬのではないかと予期していたのかもしれません。
別れの意味を、そう捉えるとあの言葉は死を前にした「最後の言葉」になります。