『秒速5センチメートル』は主に貴樹の視点から描かれています。
お互いを必要としていた13歳から、28歳までの人生が描かれているのです。
貴樹の恋愛観
貴樹はずっと13歳の自分を引きずっている状態です。
彼女を守れるだけの力が欲しいと思った
引用:秒速5センチメートル/配給会社:コミックス・ウェーブ
彼は上記の想いを忘れることが出来ずに、いつしか明里への思いに振り回される人生を送っています。
彼女と明確な別れをしていなかった為に、恋心を引きずってしまったのではないでしょうか。
明里の恋愛観
彼も私もまだ子供だった
きっと昨日見つけた手紙のせいだ
引用:秒速5センチメートル/配給会社:コミックス・ウェーブ
彼女は貴樹への恋心を過去のものとしています。
決して忘れた訳ではなく、とても大切な時間として心の奥にしまってあるのです。
男性と女性の恋愛観は違う、とよく言われますが『秒速5センチメートル』でもこの違いが上手く描かれています。
女性は現実を生きていくものなのでしょう。
明里はふられていた?
「One more time, one more chance」が流れる回想シーンで、第二話の映像が流れます。
種子島にいた明里
回想シーンで、種子島に明里が来ていたことが映し出されています。
この映像は花苗の見た幻とも取れますが、実際に明里は来ていたのかもしれません。
明里は高校時代も貴樹が好きで、追いかけてきたのでしょう。
この時彼女は貴樹には会えず、結果的に連絡を取ろうとしなかった貴樹にふられたことになったのです。
だからこそ明里は、貴樹を振り切ることが出来ていたのかもしれません。
ラストシーンで明里が消えた理由
ラストシーンで明里は一瞬振りかえろうとしています。
貴樹の存在に気がついていたのでしょう。
しかし彼女は振り返ってしまったら、気持ちが止められなくなると思ったはずです。
せっかく恋を忘れ前へ進みだしたのに、過去に引き返してしまうという思いが彼女の足を進めたのでしょう。
彼女にとって貴樹への想いは、特別なものでありながらも思い通りにいかない辛いものだったとも考えられます。
過去へは戻りたくない、今の幸せを大切にしたいというのが本心かもしれません。
忘れることが出来ない恋の物語
二人にとって13歳の恋は、まぎれもなく本物でした。
一生分の情熱を捧げたものだったのかもしれません。
貴樹も明里もこれからの人生で13歳の自分を時折思い出し、切ない想いに胸を焦がしていくのでしょう。
本気の恋をした経験がある人は、貴樹や明里に強く共感出来るかもしれません。