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2007年公開の新海誠監督作品『秒速5センチメートル』は、監督ならではの美しい絵が話題となりました。

本作は観る人によって、ハッピーエンドともバッドエンドともいわれています。

明里を追いかけなかったのはなぜなのでしょうか。

もし明里を追いかけていたら物語はハッピーエンドにまとまっていたのか……、徹底考察していきます。

更に3部作となっている時系列も整理していきましょう。

明里を追いかけなかった結末

秒速5センチメートル キャラファインアクリル『コスモナウト』

『秒速5センチメートル』を恋の物語として捉えるか、もっと大きな人生として捉えるかによって結末への意見も変わってきます。

貴樹の想いが冷めていた

貴樹は高校の時にメールを送ることを辞めています。

その理由は描かれていませんが、もしかしたら貴樹は一方的に連絡を絶ったのかもしれません。

劇中の貴樹は無気力で流されるような人生を送っています。

なんとなく明里への自分の思いが空しいものに思えていたのでしょう。

明里を守る力が欲しいといいながら、その力を手にすることが出来ずなんとなく時間が過ぎていった……。

その間に気持ちは少しづつ冷めていったのかもしれません。

明里を今も好きなのか、なぜ彼女に固執しているのかも分からなくなっているのでしょう。

だから足が動かなかったのではないでしょうか。

最後のほほえみは自傷の笑顔のようにも観えます。

過去の想い出を大切にしたかった

秒速5センチメートル キャラファインアクリル『秒速5センチメートル』

ふたりの間には膨大な時間が流れています。

貴樹は自分が変わったように、明里も変わったのだと察したのでしょう。

そして同時に過去に縛られていたのは自分だけだった、と気がついたのです。

追いかけても離れた時間を埋めることは出来ないと思ったので、貴樹は追いかけなかったとも考察出来ます。

明里への執着心から逃れることが出来た

電車が彼女の姿を消したとき、貴樹の明里への執着心が消えたとも取れます。

貴樹の想いは恋を超え、亡霊でも追いかけるような実体のないものとなっていたのではないでしょうか。

明里の姿が消えたことで、貴樹を束縛していた呪いともいえる想いから解放されたのです。

それぞれの道を進むべきだと見送った

貴樹は第一話の終わりで、すでに明里と結ばれないことを悟っているかのようです。

彼女を想いながらも、別々の未来があることを受け入れていたとも考えられます。