しかし、イギリスは「ゆりかごから墓場まで」といわれるように、ヨーロッパの中でも社会保障制度が充実している国です。
そのため、安い賃金で雇える移民や難民が増え、病院や学校が対応しきれなくなる問題が発生したのです。
このような原因により、イギリス国民が自分たちの安定した生活を守るためにEUからの離脱を支持するようになりました。
作者はEUからの離脱に反対!
作者のJ・K・ローリングはイギリスのEU残留を支持する人物です。
EU離脱が決まった際、「(和訳)さようならUK。私はこれほどまでに魔法があればと思ったことは無い。」と発言しています。
Goodbye, UK.I don’t think I’ve ever wanted magic more.
ファンタスティック・ビーストシリーズは作者が脚本に携わっていることもあり、この問題への主張も隠されていると考えられます。
グリンデルバルドはブレグジットの象徴
国民が快適に暮らすために、EUから離脱しようとするイギリス。
魔法使いが自由に暮らせる世界を作ろうとするグリンデルバルド。
両者は自分のコミュニティだけを守り、他を排除しようとする共通点があります。
グリンデルバルドはファシズムの象徴でもあります。
つまり、このままではイギリスが自分の国だけの平和を目指す独裁政治が始まってしまうことを危惧しているのです。
ニュートは作者が考えるイギリスの理想の姿
一方、物語の主人公であるニュート・スキャマンダーは、ダンブルドアからグリンデルバルドとの戦いを託されます。
それは、ニュートが権力や名声を求めず、純粋に正しいことだけを追い求めるからです。
作者が求めるイギリスの姿は、ニュートに投影されていると考えられます。
ニュートはホグワーツ魔法魔術学校出身の魔法使いです。組み分けは勤勉さや誠実さが重視されるハッフルパフでした。
その性格通り怒ることは滅多になく、声を荒げるのは大切な魔法動物が危険な目に合った時だけなど、心優しい青年。
作者もイギリスは経済的に発展しているからこそ、ニュートのように愛のある行動をしてほしいと訴えているのです。
グリンデルバルドは作者からの警告
今回はグリンデルバルドを通して何を描いているかを徹底解説しました。
ヴィランであるグリンデルバルドをファシズムやブレグジットの象徴とすることで、イギリスの将来への不安を描いていることが分かりました。
ハリー・ポッターシリーズに夢中になった世代は現在30歳前後。立派に政治や経済を考えられる、世界を引っ張る世代です。
作者は子供の頃ハリー・ポッターを観てくれた世代に向けて、自分の政治的見解を訴えているのではないでしょうか。
今作は戦間期が舞台だったことを考えると、次回作以降は第二次世界大戦のような悲惨な戦争が起こることも予測できます。
ぜひ次回作以降も、グリンデルバルドに隠された作者の意見を考えながら観てみましょう!