ここは監督の手腕にハッとするところです。
彼女はボスが入院し不在中、キャサリンになりすまし、ボスに盗まれた自分のアイデアを実現させようと計画します。
ここに登場するのがジャック(ハリソン)という男。
彼はキャサリンの同業者で実は彼女の恋人でもあったのでした。(テスがジャックがキャサリンの恋人であることを知るのはずっと後のこと)
ジャックの存在はストーリーを回転・進行させる重要なものとなります。
テスはキャサリンのパートナーのジャックに接近。二人は次第に惹かれ合うようになります。
そしてテスをキャサリンの立場にある女性と騙されているジャックはテスの計画を推進する立場で協力してくれることになったのです。
かつての恋人ミック(アレック・ボールドウィン)の役割
映画の前半ではテスの恋人はミック(アレック)でした。
贈り物は際どい下着ばかり。なにかというと結婚を迫るミックに辟易としていたテスは、彼が浮気している現場を目撃。
この「クズ男」に別れを告げるのです。
ミックという男はジャックの対極に位置し、「テスの上昇志向と能力を理解しない、従来型の女性像を求める男」として描かれています。
これはジャックの立ち位置を強化する役割を担っているといえるでしょう。
エレベーター前の対決
テスの逆転満塁ホームラン
ストーリーは、テスの仕事の成功とジャックとの恋の成就をタテヨコの筋としてテンポよく進みます。
トラスク産業の最終会議でのプレゼンの最中、退院が早まったキャサリンが乗り込み、テスをニセモノと指摘、テスにとっては最悪の事態に。
しかし、ここからが本作の最終的カタルシスの提示となります。
クビを宣告されたテスが会社を去ろうとすると、キャサリンが先導し最終契約に来たトラスク産業やラジオ局の社長ら一同とはち合わせ。
各登場人物の最終形が示されるシーンの始まりです。テスは自分が勉強してきたトラスク産業にマイナスになる情報を敢えて提供。
キャサリンはそれについて答えられません。ジャックに助けを求めるも彼は横を向いてしまいます。
このようにテス、キャサリン、ジャック、トラスク産業の社長という主要人物の「オチ」と「関係性」が集約され完結するシークエンスとなっているのです。
テスの「逆転満塁ホームラン」となりました!
溜飲が下がる分かりやすい結末
契約は無事に終わり、テスはトラスク産業に引き抜かれ部長に。今度は自分が秘書を持つ身になります。そしてジャックの愛も手に入れました。
キャサリンは「クビ」。
この辺りの大団円はキャサリンの親友も加えてもう少し機微豊かに描かれていきます。
先述のように「水戸黄門」の印籠場面のような、ある種の勧善懲悪的「すっきり感」が味わえるところです。
再度いいますが、それにはシガニー・ウィーバーのヒールぶりが大いに貢献している点を忘れてはいけません。