しかしなぜフロドはこの誘惑に打ち勝つことが出来たのでしょう。
ホビット族だったから
第一の理由として上がられるのは、やはりフロドが平和を愛するホビット族だったからです。
権力や支配欲が全くないホビット族は、元来指輪の誘惑など効かないのです。
長い旅の間に恐怖が心に生まれ、最後はフロドも指輪の力に負けそうになります。
もし、フロドでなければ早々に誘惑に負けていたでしょう。
サウロンから敵視されていなかった
サウロンは元々人間、ドワーフ、エルフを支配するために指輪を創り出しています。
このことから敵視していなかったホビット族に関しては、指輪はあまり影響を及ぼさないのではないかとも考えられます。
しかし長く指輪を持つことで、ホビット族のフロドも徐々に蝕まれていくのです。
原作が優れている訳
「ロード・オブ・ザ・リング」は原作に基づいて作られた映画です。
原作となった「指輪物語」は世界中で親しまれる大作ですが、なぜそれほどまでに人気があるのでしょう。
世界初の優れたファンタジー作品
「指輪物語」が執筆されたのは1937年から1949年です。
当時のファンタジーといえば子供向けの簡単な構成でした。
しかし「指輪物語」には詳細な世界観があり、歴史的要素も多く盛り込まれています。
更に筆者は3000年分の歴史を構成しており、登場人物の家系図も制作しています。
まさに歴史そのものの壮大な世界が広がっているのです。
民俗を徹底調査している
オックスフォード大学で学んだJ・R・R・トールキンは言語学に秀でており、登場する種族にゆかりの深い言語を割り当てています。
例えば、人間の言葉はアングロ・サクソン語でありエルフの言葉にケルト語、そしてアイルランド語はドワーフたちが使用しています。
それゆえにファンタジーなのにどこかリアルを感じさせる構成になっているのです。
自分ならどのように行動するか
映画でも大きなテーマになっていますが、壮大な物語の中で観客はたびたび自分ならどう行動するかと考えさせられます。
自分なら誘惑に勝てるのか、大きな力を手にすることが出来る指輪があったら、その力を欲することなく封印することが出来るのか。
登場人物たちの触れ動く心の在り様は、まさに観客の心の在り様でもあるのです。
「捨てる勇気」を問われる不朽作
人は手にすることを欲する生き物です。しかしこの映画は手放すことを目指すストーリーとなっています。
心と戦いながら旅をする姿は、時代を経て繰り返し観たい作品です。