このことは地上でも描かれています。
若いものが暴れ出して……仕方なかった
引用:ドラゴンヘッド/配給会社:東宝
若い男性は最も強く、生き残れる確率も高いでしょう。
年老いた者たちは、暴れた彼らに復讐を遂げています。
救いようのない災害下に置いて、狂気こそが「普通」といえる状態で描かれているのです。
ネガティブな思考
ノブオは赤い光を見ています。
おそらくそれは富士山の噴火であり、狂気の暗示なのでしょう。
自分の願いが聞き入れられることなく、思い通りにいかない世界を生きてきたノブオは、闇の中に希望を見出すことは出来ません。
自分の世界を構築することで、自分自身を守っていたとも考察出来ます。
解放され自由になった
終わったよ、終わった
ざまあみろ
ぼくも前とは全然変わったからさ
引用:ドラゴンヘッド/配給会社:東宝
虐められていたノブオは、皆が死んだことで自由を得ました。
支配されていた自分が優位になり、支配する立場になれたのです。
皆にとっての地獄の始まりだった災害は、彼にとって地獄からの解放だったといえます。
だからこそ、ノブオはこれまで出来なかった復讐をやり遂げることが出来たのでしょう。
事故の瞬間時の状況が物語るもの
事故後の状況が、テルとノブオのその後に影響を与えています。
ふたりの運命を分けたものは一体何だったのでしょうか。
テルは何が起きたのか見ていない
「まともである」という条件のもと、彼は行動していますが、なぜ彼はまともだったのでしょう。
テルは事故直前にコーヒーをとるために座席の下にもぐっています。
そしてしばらくしてから目を覚ましているので、何が起きたか把握していなかったでしょう。
だからこそ、序盤では現実的な恐怖を感じていないのです。
当初、彼は何が起きたかわからない恐怖と戦っています。
ちなみに原作では、テルが富士山の噴火するシーンを目撃していました。
序盤のテルの行動は、映画との言動の違いを観比べたくなる場面です。
ノブオは過酷な現実を見ている
ノブオは暴行を受けている際に事故に遭い、事故直後に死にゆく者たちをみています。
悲惨な現実を目の当たりにしたことで、彼は真の恐怖を感じるのです。
このことが、彼の精神を不安定なものにしたといえるでしょう。