正しい方向を持った人の希望は、どんなコントロールにも左右されることなく、何度となく再起し続ける、ということです。
本作以降も、幾つか、この重厚なテーマに挑んでいる作品が幾つかあります。
近いテイストの作品
布教の困難さを描いた作品群
「ラスト・サムライ」(2003)に本作からの影響が感じられます。
遠藤周作原作で、マーティン・スコセッシが監督した「沈黙−サイレンス」(2015)は、本作から1世紀近く前の日本でのキリスト教を布教することの困難さを描いています。
歴史的実話がベースだった
奴隷商人から修道士へ
本作は、1750年の南米アルゼンチンとパラグアイの国境での歴史的実話がベースです。
自身の弟を殺めてしまった傭兵で奴隷商人のロドリコ・メンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)が、罪の意識に苛まれかけます。
ガブリエル(ジェレミー・アイアンズ)の勧めで入信し、ガブリエルを慕うフィールディング(ウィリアム・ニーソン)達と共に修道士として布教活動に邁進していきます。
自身の過去の「贖罪」つまり「許し」を求めようとしたのが最大の動機でした。
メンドーサが修行の為、イグアスの滝のある断崖を盾や武器を背負いながら頂上まで上り詰めた瞬間、かつて奴隷扱いしていたグアラニー族に取り囲まれます。
弟を殺してしまって以来、生ける屍と化していたメンドーサが、突然号泣しました。
それを見たグアラニー族の人々が笑い出した瞬間は、彼が初めてグアラニー族に赦され受け入れられた印象的なシーンです。
ガブリエルのオーボエ
人種の壁を超えた最大の共通項
巨匠エンリオ・モリコーネのテーマ曲「ガブリエルのオーボエ」や「Nella Fantasia」が、素晴らしく作品にフィットしています。
ストーリー中でも、ガブリエルとグアラニー族が打ち解ける最大のきっかけ=共通項になっていました。
本作をきっかけに広く知られ、イタリア語の歌詞をつけたヴァージョンをケルティック・ウーマンやイルディーボがカヴァーしています。
フィギュアスケートの大会でも、浅田舞や荒川静香など日本でも一線級のスケーターが、競技中に頻繁に使っており、話題にもなりました。