この言動がホセを狂気へと駆り立てるのですが、彼女はホセの狂気にさえも屈することなく、心のままを告げるのです。
カリに生きてカリで死ぬ
原作の中のカルメンは死ぬときも「カリ」のままだと主張します。
カリはロマ(ジプシー)間での呼び名で黒を示し、自立・独立した個人を指しています。
カルメンはホセに殺されても、ホセのものにはならないと強く攻撃するのです。
手に入らない女性だからこそ余計に欲しくなるのかもしれません。
ホセへのカルメンの愛は本物だった
ホセへの気持ちが冷めたことで死を迎えるカルメンですが、彼女のホセを思う気持ちは本物だったのでしょうか。
カルメンは嘘のない愛し方をする
カルメンは恋多き女性ですが、心に嘘をついて男性と付き合うことはありません。
ホセと一緒にいたときは心からホセを愛していたことでしょう。
ラストシーンで、自分を殺そうとするホセから逃げずに、彼と向き合ったのは心から彼を愛していた時期があった為と解釈出来ます。
また2004年公開の「Carmen」ではホセを愛した自分自身が憎いといっているので、過去にホセに向けた愛は本物だったといえます。
タイプの違うもの同士惹かれあった
カルメンは自分と同じような男性と後を引かない恋を繰り返しますが、ホセはそれまでの男性とは違う真面目な男性です。
それゆえカルメンはホセに惹かれたのではないでしょうか。ホセも自分にないものを持っているカルメンに心を奪われていきます。
お互いは全くタイプが違うからこそ強く惹かれあったのでしょう。
闘牛士エスカミーリョよりホセが好き
原作の中でホセにエスカミーリョを好きか問われると、カルメンはホセほどは愛していなかったと告げています。
カルメンの中でホセに対する愛は冷めてしまったけれど、二人の仲に燃え上がるような愛があったのは揺るぎない事実です。
これまでに出会ったことのないタイプのホセは、カルメンに変わらぬ愛をささげました。
カルメンにとっても初めての深い愛だったのかもしれません。
カルメンはなぜ自由を求めた?
カルメンは自由をひたすらに追い続けています。なぜ彼女はこれ程までに自由であることにこだわって生きたのでしょうか。
ロマ族という環境
カルメンはロマ族(ジプシー)の女性です。ロマ族はかつて自国で迫害など受けて新天地へと向かう集団でした。
それゆえ自国での考え方や宗教を主張すると衝突の原因になることが多かったのです。
そこで土地や宗教に縛られず「自由」というルールを設定することで、ロマ族の団結が形成されていきました。
アウトローな世界で生きていたから
ロマ族は迫害を受けてきた民族です。法にも従わず、喧嘩をしたり盗みを働いたリします。
しかし見方を変えると、法に生き他者に従っていたらまた迫害を受ける結果になるでしょう。
それゆえに誰かに支配されるのを嫌がり、徹底した自由主義者として生きたのでしょう。
カルメンの捉え方は時代と共に変わった
自由に生きたカルメンですが、彼女の捉え方は時代と共に変化しています。
当初のカルメンは「悪女」としての印象が強く、男を翻弄しダメにする嫌な女として観られていました。
しかし近年では、誰の指図もうけず自分の意志で行動するカッコイイ女性といわれています。
カルメンの捉え方は、女性が自由に生きることへの社会的なスタンスを伺えるものです。
カルメンが死ぬ理由
カルメンが最後に死ぬことについて、これまでも多くのファンが意見を寄せています。なぜカルメンは死ななくてはならなかったのでしょう。
カルメンは自ら「死」を選んだ
カルメンが生き延びようと行動を起こしていたら、きっと彼女は死なずに済んだことでしょう。