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【ダークナイト(ネタバレ)】ラストのセリフに込められた意味を解説!バットマンとジョーカーの存在から善悪とは何かを考える

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B009VEU2TK/cinema-notes-22

「ダークナイト」は、バットマン3部作の最高傑作と名高い作品です。

そして、撮影中にジョーカー役のヒース・レジャーが亡くなるという大きな話題を残した伝説の作品です。

悪になり切ったヒース・レジャーの残したセリフや、他のヒーローとは異なるダークヒーロー・バットマンの言動を徹底解明します。

善と悪の境界線は存在するのでしょうか。

また、ゴードン警部補が最後に残した意味深なセリフの謎を紐解いていきましょう。

そして当時のアメリカの時代性を絡め『ダークナイト』を映画史的な観点からも見てゆきます。

さらに映画のテーマをアメリカの正義や悪人の深層心理というポイントから深く掘り下げてみましょう。

バットマンはアメリカを連想させる

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バットマンは他のアメコミヒーローとは異なり、闇を抱えたダークな存在です。

正義とは何なのか疑問を抱かせるその姿は、アメリカを連想させるともいわれています。

正義への疑問

2008年公開のダークナイトですが、当時のアメリカは2001年の同時多発テロをかわきりに2003年からイラク戦争を始めました。

その時アメリカは攻撃の理由を「イラクの大量破壊兵器保持」とし、正義の名のもとに戦争を始めています。

しかし結果的に大量破壊兵器は発見できず、国民は国の掲げる正義に疑問を持ち始めます。

正義への疑問が膨らむ中、ダークナイトは公開されたのです。

「ダークナイト」内のバットマンも正義を掲げながら、悪ともとれる行動を行っています。

この姿はまさにアメリカを象徴しているのです。

ヒーローではない正義

バットマンは決して悪ではありません、しかし迷いのない100%の正義でもありません。

殺人の罪をかぶり、世間的には警察に追われる悪の存在です。

また劇中には時折バットマンの持つ「悪」の部分も描かれています。

ヒーローと呼ぶにはダーク過ぎるバットマンの存在は、観るものに正義と悪の境界線を考えさせる構造になっています。

ラストのセリフが示すもの

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映画タイトルにもなったダークナイト(暗黒の騎士)の意味は、ラストシーンで明らかになります。

しかしゴードン警部補はどのような想いでバットマンをダークナイトと呼んだのでしょう。

ゴードン警部補がラストを締めくくった理由

ゴードン警部補は柔軟さをもった正義者として描かれています。

少々の悪事には目をつぶりつつ、自分の良心だけは譲らず生きています。

完璧な理想主義者じゃないゴードン警部補は、観るものを代表する存在でもあるのです。

人の踏み外してはいけない道を認識しており、いくら周りが汚職に手を染めようとも彼は道を踏み外さず歩んでいます。

とはいえ悪を根絶やしにしようと理想を掲げている訳でもありません。

そんなゴードン警部補が客観性をもってバットマンに放つセリフだからこそ、観客の心に残っていくのです。

ゴードン警部補のセリフは深い

ゴードン警部補のラストシーンは「ダークナイト」の全てを物語る名シーンとなっています。

彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者、我々を見守る監視者。
“暗黒の騎士”(ダークナイト)だ。

引用:ダークナイト/配給会社:ワーナー・ブラザース

上記のセリフは、ゴードン警部補が息子に諭す言葉です。

ゴードン警部補は、バットマンが大手を振って民衆にこたえる光のヒーローではないといっています。

ハービーの罪をかぶり警察に追われる身でありながらも、ゴッサム・シティの正義を守ろうとする監視者なのです。

悪がはびこるときバットマンは密かに現れ、彼の方法で悪を消し去るでしょう。

その方法は100%の正義ではないかもしれません。

しかしそれでもいいとゴートンは思っているのではないでしょうか。だからこそダークナイトなのです。

ハービーの罪を背負って悪になった理由

バットマンは人々の期待を裏切らない為にハービーの罪をかぶっており一見すると男気のあるヒーローのようです。

しかし、バットマンは人々の心を守るためだけに罪をかぶったのではありません。

彼は自分の心に潜む「悪」の部分を認識していました。

自分も同じ運命をたどっていたかもしれないという思いがあったからこそ、ハービーの罪をかぶったのでしょう。

この行動には、彼自身が自分をヒーローではないと認識していることが現れています。

ゴードンがラストに放った暗黒の騎士(ダークナイト)という表現こそ、バットマンが思う自分の姿そのものなのでしょう。

善と悪は紙一重

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「ダークナイト」は全編を通して、ジョーカーによって正義とは何かを問われています。

バットマンを通して観るものにも問いかける、独特の重さが魅力なのです。

迷いある正義は悪の可能性を秘めている

ジョーカーには全く迷いがありません。言うなれば迷いのない完璧な悪です。

そしてこの揺るぎない悪のジョーカーが、迷いのある弱い正義心を揺さぶってきます。

描かれているバットマンは、正義という名のものに迷いを持つ存在です。

彼がいつ悪に転落してもおかしくない危うさが観るものをハラハラさせてくれます。

ジョーカーは下記のセリフを劇中で語っていますが、これは全ての人間に向けたメッセージにも取れます。

狂気は重力のようなもの。人はひと押しで落ちていく。

引用:ダークナイト/配給会社:ワーナー・ブラザース

正義の心は、状況次第でいつも揺れ動くものです。誰もがみな一瞬で悪へと変貌する可能性を秘めています。

愛は悪に繋がる

ハービーは劇中でヒーローとも呼ぶべき存在として登場しますが、レイチェルが殺され復讐心に捕らわれてしまいます。

愛する思いが強いほど、復讐心は迷いない狂気へと変貌するのです。

もし自分が同じような体験をしたら、どこまで正気でいられるでしょう。正義を語っていられるでしょうか。

正義を試されるシーンもある

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劇中では、観るものの正義感を直接試すようなシーンもありました。

一般人と囚人の乗るフェリーに爆薬を仕掛けたシーンです。

このシーンではどちらもスイッチを押さなかったのですが、囚人たちの方が正義感が強く描かれています。

善良とされる市民は自分は悪者になりたくないけど、死にたくもないから誰かスイッチを押して欲しいと願います。

囚人たちの船ではスイッチを海へ投げ捨てています。

世間的に悪とレッテルを張られた者たちの「正義」を描くことで、悪と正義の境界線を曖昧にしているのです。

人の奥にある正義

自分達が助かりたいと願っていた市民たちも、囚人たちが起爆スイッチを押さないことで眠っていた正義の心を取り戻しています。

この時点でジョーカーは賭けに負けたことになるのです。

誰でもジョーカーになる可能性がある

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「ダークナイト」は重い映画として有名で、その重さこそが癖になる名作です。

映画を観た後の重さの理由の一つがジョーカーの存在感であり、自分の中に潜む「悪」を認識するきっかけとなるからです。

人は環境次第で善にも悪にも染まる

劇中のジョーカーは様々な名言を残していますが、下記の言葉もその一つです。

人間が善でいられるのは、奴らを取り巻く環境がいいから

引用:ダークナイト/配給会社:ワーナー・ブラザース

日本は特に治安も良く、悪になる環境とは縁遠いといえます。

しかし世界へ視野を広げると、犯罪が身近で当たり前に存在する環境も多数あります。

人は環境次第で簡単に悪に染まるのです。

正義が大切といえるのは、偶然育った環境が良かった為ともいえます。

ハービーが示すもの

劇中のハービーはジョーカーの求めるものを示唆しています。
英雄的な人間が一瞬で悪へと変貌する姿です。これこそジョーカーのいう「環境」が生み出す悪の姿です。
恋人を殺されたという環境が、ジョーカーと同じサイコパス的な悪人へと英雄を変貌させています。

迷いのない徹底した悪人ジョーカーが人気

ジョーカーは人の持つ悪を徹底的に表に開放しています。

見方を変えれば、偽善的につくろう人々の皮をはぎ取ろうとしているのです。

一切偽善のないその行動に不思議な魅力を感じる人も多いようです。

ジョーカーを演じたヒース・レジャーは6週間人との接触を避け、サイコパス(精神異常者)になりきりました。

この徹底した役作りがジョーカーを生み出していたのです。

バットマンの中の狂気

バットマンが劇中でジョーカーを殴り続けるシーンがあります。このシーンにドキッとした人もいるのではないでしょうか。

実はこのシーンは意図して撮影されたもので、バットマンの中にある悪の心を表現しています。

正義だと思っていたバットマンが狂気をまとい、恐ろしく感じる瞬間です。この時に善と悪の境界線は完全に崩壊しました。

ジョーカーに惹かれるのは彼が正しいことを言っているから

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ダークナイトは、バットマンの正義感を試される作品です。

本作は主役となるバットマンより、悪役のジョーカーの方が人気が高いという異質な映画でもあります。

その理由は彼の偽りのない言動にありました。

人の本性の暴き方が徹底している

人は他人の本心や本性を知りたいと思う時があります。

ジョーカーはそんな欲望を全開にし、痛快なほど人の本性を引きずり出しています。

ジョーカーはサイコパスですが、彼が放つ言葉は人間の奥底に眠っている真実の言葉なのです。

目的は人間の悪を引きずり出すこと

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ジョーカーは人を殺すのを目的として楽しんでいる訳ではありません。

善良と呼ばれる人々に潜む悪を引きずり出すことに、快感を感じているのです。

その手段として究極の二択を準備します。殺人に手を下すのは善良である人間という構造です。

このことで人は心の闇に正面から向き合うことになります。

そしてジョーカーは、ヒーローであるはずのバットマンの闇を要所要所で、引き出します。

この展開に、観ているものはバットマンにどんな闇が潜んでいるのか目が離せなくなってしまいます。

単なるヒーロー映画じゃない深みを味わえる

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「ダークナイト」は完全懲悪のヒーロー映画ではありません。

悪と善の心を持つバットマンが、正義とは何かを迷い翻弄される奥の深い作品です。

人間の持つ二面性に恐怖感をプラスした正義を問う超大作です。

答えの出ない問いかけなだけに、人は何度も繰り返し観たくなるのではないでしょうか。

ハリウッドのヒーロー映画をリブートさせた『ダークナイト』

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『ダークナイト』は長年低迷していたハリウッドのヒーロー映画を復活させた作品としても知られています。その理由を探ってゆきましょう。

ニューヨーク9.11テロに飲み込まれたヒーロー映画

原作が共通するシリーズ映画で、それまでとは違う新たな道を開拓することをリブート・再起動といいます。

『ダークナイト』はその意味でハリウッドのヒーロー映画全体をリブートさせたともいえるでしょう。

ヒーロー映画を新たなステージに押し上げたのです。そこには当時の時代背景も大きく絡んできます。

2001年アメリカで9.11テロが起こり、ハリウッドも時代の大波にさらされました。

映画のヒーローは忘れられ、消防士や兵士といったリアルなヒーローが英雄視されるようになります。

映画もまた『ミスティック・リバー』など庶民を描いた重厚なドラマに人気が集まりました。

『華氏9.11』などマイケル・ムーアの政治的なモキュメンタリー・ブームもまたこの時代の映画を象徴しているといえるでしょう。

そんな中でアクション・ヒーローは完全に居場所を失ってしまいました。

ハリウッド衰退の使者となったダークナイト

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2008年公開の『ダークナイト』はそんな時代の逆風を跳ね返します。大ヒットを果たした上にヒーロー映画の最高傑作だと絶賛されました。

『ダークナイト』はアメコミのヒーロー映画でもドラマとしてリアルな英雄や正義を掘り下げることができることを証明したのです。

この成功によって子供だましでしかなかったヒーロー映画は初めて高く格付けされ、新たな時代の認証を受けたといえるでしょう。

そしてそれから10年以上、ハリウッドはヒーロー映画の黄金時代に入りました。

『アイアンマン』『アベンジャーズ』『X-MEN』などビッグバジェットのシリーズ映画が大量生産され世界中で爆発的にヒットします。

しかしそれらの質自体はそれ以前のヒーロー映画と大差のないものでした。

そのため『ダークナイト』は皮肉にもハリウッド映画全体のレベルを引き下げるきっかけにもなった作品だといえるでしょう。

歴史的な名作とは時代を良くもすれば悪くもするものなのです。

ヒーロー映画とアメリカの正義への擁護

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光と闇の2つの正義をメインテーマにした『ダークナイト』は、正義について深い洞察を与えてくれます。

完全無欠のヒーローは必要なのか?

『ダークナイト』では最終的にバットマンは死んだハービーの犯した罪をすべてかぶります。

それによってゴッサムシティの悪と戦い続けたこの地方検事は、市民にとって永遠のヒーローになりました。

しかしバットマンがやったことは完全無欠のヒーロー・光の騎士の捏造だともいえます。

現実的に正義のヒーローとは善悪が混ざり合ったバットマンのような存在なのです。

正義を行ったあと闇夜に消える闇の騎士・ダークナイトこそが本物の正義のヒーローに違いありません。

しかし現実に存在しないからといって、完全無欠のヒーローをバカバカしいと全否定するのもどうなのでしょうか。

『ダークナイト』の出した答えはそれと違います。

映画は最終的に完璧なヒーローを心の中に留めておくことの大切さを訴えるものだったのです。

シンボルとしての正義のヒーロー

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それはヒーロー映画がいつまでも存在し続けることの意義をも訴えます。そしてそれはアメリカの正義への擁護にも通じるものでした。

アメリカの正義とはバットマンの行いのように善悪が入り混じったものです。

世界の警察として世界平和に貢献しながらも、その反面で争いの火種をあちこちにばらまいています。

そのためアメリカはしょっちゅう世界中から非難の的にもなります。しかしそこで正義なんてどこにもないとあきらめていいのでしょうか。

光の騎士・ハービーのようにアメリカは完全な正義のシンボルとしての存在意義を持っているはずです。

たとえそれが捏造でも、その存在を信じることは誰にとっても大切なことではないでしょうか。

ベン・アフレックは2012年『アルゴ』という映画で実在のFBI捜査官を演じました。

彼はイランからのアメリカ人救出作戦を成功させたあと、誰からもその偉業を称えられることなく闇に消えました。

そして2016年に製作されたバットマンの2つの関連作で共にバットマンを演じます。

アフレックはおそらくアメリカとバットマンの正義の深いつながりを理解しているのではないでしょうか。

悪の本質をえぐりだすノーラン兄弟

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クリストファー・ノーラン監督は2000年公開の衝撃作『メメント』で高い評価を受けました。

そしてそこにはすでに『ダークナイト』のジョーカーに通じる悪に対する深い洞察があったのです。

ダークナイトとメメント:共通する悪の深層心理

クリストファー・ノーランは弟のジョナサンと共同脚本で映画を作ることが多い監督です。

出世作となった『メメント』それから8年後に作られた『ダークナイト』も共にノーラン兄弟によるスクリプトが映画の元になっています。

そしてこの2つの作品は悪の捉え方として深い部分でつながっているといえるでしょう。

『メメント』の主人公レナードと『ダークナイト』のジョーカーはその悪の深層心理が似ているのです。

レナードは自ら犯した殺人事件を隠ぺいするために別の殺人事件を捏造しました。

彼は捏造された犯人に復讐しますが、記憶障害なのですぐに忘れてしまいます。そのため何度も別人を殺し続け、その思い込みを強化します。

一方のジョーカーは自らの悪が普遍的なものだということを証明すべくゴッサムシティの市民を共犯関係にしようとしました。

人々を窮地に追い込んで悪いことをさせようとしたのです。ハービーもその犠牲者となりました。

レナードとジョーカーは共に自らの罪悪感を他者に投げることで自分を正当化しようとしています。

心理学者のユングはこういった悪人の心理を「影の投影」と呼びました。

恐るべき悪の無限ループ

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また2人は自らの悪が実証されてもそこから目をそらします。レナードは真実を知っても記憶障害の元でそれを忘却しました。

ジョーカーはゴッサムシティの市民の高潔さを知っても皆殺しにしてそれを消そうとしました。

2人は最終的に自分で自分をだますこと・自己欺瞞を持ってくることで延々と悪行を続けようとするのです。

『メメント』の最後にレナードが見せた哀しい復讐の無限ループはバットマンシリーズで悪行を続けるジョーカーにも通じるでしょう。

世の極悪人がなぜ悪の無限ループにはまり同じことを繰り返し続けてしまうのか。

ノーラン兄弟は『メメント』と『ダークナイト』で同様にその原因をえぐりだしたといえるでしょう。

そしてそれは極めて根源的なものなだけに、多くの人に他人事としてではなくリアルな警鐘として訴えかけてくるのです。

 

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