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イギリス映画の「エリザベス」はエリザベス1世の半生を描いた歴史映画です。
2007年には続編「エリザベス ゴールデン・エイジ」も制作されるなど世界中の注目を浴びています。
独身を貫いたエリザベス1世のスキャンダラスな一面を上手く描きだしました。
また陰謀や暗殺に翻弄され続けた彼女の半生をリアルに描き人間としての在り様も考えさせられる作品です。
エリザベス1世にとって「偉大な存在」とはどのような存在だったのか、不遇の時代を経て彼女が強くなった理由とは……。
史実と比較しながら映画「エリザベス」を徹底解明していきましょう。
映画をすっきり見る為に
英語のまま映画を観ていれば、さほど問題にはならないのですが、字幕や吹替で映画を観ると思わぬところで苦戦します。
英国ではない
字幕では「英国」という表記がされますが、これをこのまま読み取ると話が進むうちに何が起きているのか少々理解に苦しみます。
というのも当時、英国(イギリス)という国は分裂しており、エリザベスの治めるイングランド国とメアリー・スチュアートの治めるスコットランド国に別れています。
いうならば英国は存在していないのです。
2つの隣接する国とそれを取り巻く、各国の勢力争いという背景です。
スコットランド国王のメアリー・スチュアートはフランス王妃であった過去もあり、大きな力を持つフランスに支持を受けています。
エリザベスの継いだイングランド国は、政治的にも軍事的にも弱かったといえますね。
この複雑な状態を「英国」と綴られると、何を争っているのかわかりにくくなります。
イングランドとスコットランドを念頭にいれ鑑賞していきましょう。
時代背景
歴史的な映画を観る時は、時代背景を知っておくと楽しさが2倍に膨れ上がります。
エリザベスの時代は16世紀、スペインやフランスが勢力を持っていました。
エリザベスの治めたイングランドはいわゆる辺境の地で、王族は強い国家との婚姻関係をもって国を保護してもらっていたのです。
更に女性の政治介入を大半の人が良しとしない時代です。
これらを踏まえると、エリザベスに降りかかった問題の数々がすんなり納得できます。
劇中には描かれていませんが、エリザベスは弱小王国を世界一の国家にのし上げた優れた女王となります。
偉大な存在とは
劇中で女王となったエリザベスは「偉大な存在」になろうとします。
彼女が目指した理想の姿とはどのようなものだったのでしょうか。
民が神々しさを感じる存在
エリザベスは母を身勝な父親に殺され庶子として育ちました。その為か反対勢力の人々はエリザベスをずっと庶子とみなしています。
庶子が女王となるのはおかしい、というのが反対勢力の言い分です。
そこで民衆の支持を得る為にも「偉大な存在」となる決意をしたエリザベスは、神々しさこそ偉大であると考えます。
未婚の示すものは神格化
エリザベスは自身を神格化して国を建て直そうと邁進します。
また民を思い、自分は臣民と結婚したといいきるなど国を内側から強くしようと行動しています。
偉大な存在とは、揺るぎない地位であり絶対君主の頂点に立つ人物だという認識もあったことでしょう。
エリザベスは晩年も若く美しい肖像画を描かせています。
政治的プロパガンダとの意見もあり、これも自分を神格化させる作戦だったのではないでしょうか。
大きな権力を握るもの
エリザベスは、権力に翻弄され不遇な時代を過ごしてきました。
それゆえ権力を持つということがどのようなことか身をもって理解していたのです。
大きな権力を持つものは、全てを掌握できる偉大な存在と感じていたのかもしれません。