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女性版ハードボイルドの傑作である1980年の映画「グロリア」はベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞しました。

また、この作品は映画「レオン」の原型といわれています。

多くの人を魅了するこの映画ですが、実際観客の反応は賛否両論。

ラストシーンが感動的で泣けるという人もいれば、ご都合主義なシーンが多いとして低評価をする人もいます。

中でも多い2つの意見が、子供嫌いのグロリアがなぜ子供を預かり命がけで守るのか理解できない。

また、ハッピーエンドという謳い文句だが、本当に2人は死んでいないのかという疑惑。

この2つの疑問を今回は徹底解説したいと思います。

グロリアの人柄

海、日没、人登場してからすぐフィルを預けられたので、グロリアの過去や人物説明が一切されていません。

そのためグロリアの心の内を、何のヒントもなく探るのが困難なのです。

彼女自身の口から、子供嫌いであるという言葉を聞いたが、それを鵜呑みにしていいのでしょうか。

これまでの彼女の人生において子供と関わる機会があまりなかったと推測されます。

そのため子供をどう扱っていいかわからない自信の無さから、子供嫌いと発言した可能性も捨てきれない。

作品中からグロリアについて分かる事を書き出してみましょう。

グロリアの過去

ロシアMafia Vodka Pistolジャイアント壁アートプリントポスター
ためらいもなく銃をぶっ放すグロリア。その銃さばきは、彼女がどれだけの修羅場をくぐり抜けてきたかを物語っています。

冒頭でコーヒーを飲みに訪れた家はマフィアの帳簿係。

愛人だった男は、今やマフィアのボスで、追手の組員達もグロリアには少々遠慮しています。

グロリアの周りにはマフィア関係者しかおらず、その世界で生きてきた女であることは間違いありません。

そんな彼女がなぜ子供のためにマフィアを敵に回す事を決意したのかが、大きな謎になっています。

グロリアの決意

マフィアの元愛人だったグロリアは、マフィアの怖さは十分に知っているはずです。

フィルを預けられた当初は、隙あらば彼を手放そうとしていたグロリア。

しかし、いざフィルを突き放そうとしたところに、タイミング悪く追手が来てしまいます。

グロリア自身も本気でフィルを見放そうとしていたわけではなかったのでしょう。

それを証拠に、かつては仲間だったマフィアの手下に発砲してしまうのです。

これを機にフィルを命がけで守る決意を固めたのでした。

子供嫌いがフィルと一緒に過ごせた理由

昔の仲間は敵になり、自分でもなぜこんな事をしているのか分からず戸惑ったはずです。

もしかしたら彼女は、家族を皆殺しにされた孤独な少年に自分の孤独さを重ね合わせていたのかもしれません。

生意気な口をきいく子供と衝突と共感を繰り返して、気がつけば自分が孤独から解放されていることに気づいたのです。

亡き父親からの言いつけで“一人前の男”になろうと気丈に振舞うフィルをグロリアは認め始めます。

時々大人として扱うグロリアの心境の変化が、子供嫌いを公言したグロリアと6歳児フィルの逃避行を可能にしたのです。

成長していくフィル

映画パンフレット 「グロリア」 監督 ジョン・カサベテス 出演 ジーナ・ローランズ
マフィアから逃げ始めた頃は、家に帰りたいなどと子供らしい駄々をこねていたフィル。

まだ家族の死を受け入れられていないことが垣間見えます。

突然逃げたり、かと思えば抱きついて離れなかったりと精神的な不安定さがありました。

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