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『ミリオンダラー・ベイビー』はクリント・イーストウッドの監督としての作品でもあり、主演も務めています。
本作は第77回アカデミー賞において、作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞の主要4部門も獲得しました。
そんな『ミリオンダラー・ベイビー』ですが、本作を観て疑問が残った方も多いのではないでしょうか。
死を望むマギーについて悩むフランキーに神父がかけた言葉の意味は何だろうか。
そもそもなぜマギーは死を望んだのか。
今回はそんな疑問について徹底解説します。
映画にみられるアメリカを象徴したテーマ
『ミリオンダラー・ベイビー』では、アメリカを象徴とする3つのテーマがみられます。
「アメリカン・ドリーム」、「貧困問題」そして「尊厳死」の3つです。
「アメリカン・ドリーム」は映画の前半部分に描かれています。
30歳を超えて年齢的なハンディがありながら、世界チャンピオンを目指す女性ボクサーのマギー。
貧困に負けずひたすら練習をしてプロボクサーとして成功していく姿は「アメリカン・ドリーム」といえるでしょう。
「貧困問題」はマギーの家族によって描かれています。
マギーは家族に仕送りや家をプレゼントしますが、家族からは喜ばれません。
これは家を所有することで、国からの金銭的支援が途切れる可能性があるからです。
安定した収入を得られず、国からの支援に頼るしかないアメリカの低所得者層の現状が描かれています。
そして、本作で最も内容が濃く描かれたのは「尊厳死」というテーマです。
死を望むが、自らは死ぬこともできない身体が不自由な患者。
死を望む患者を殺すことは罪になるのか。
医療界はもちろん、宗教や国も関わるこの問題は、今でも世界的に議論されています。
そのような繊細なテーマにクリントン・イーストウッド監督は挑んだのです。
神父の言葉から読み取るべき2つの意味
マギーの告白後にフランキーが神父から受けとった言葉
マギーが全身マヒになり自ら命を放棄したいとフランキーに告げると、フランキーは苦悩し、神父に相談します。
そのときにかけられたのが以下の言葉です。
「神は忘れろ」
「天国と地獄も忘れろ」
「手を貸せば、君は自分を見失う」
「深い淵に落ち―永遠に自分を見失う」
引用:ミリオンダラー・ベイビー/配給会社:ワーナー・ブラザース
神に仕える神父がなぜフランキーに、神も天国も地獄も忘れるように言ったのでしょうか。