ダンヴァース夫人は劇中で下記のセリフを口にしています。
奥様はマンダレーにお戻りになったんです
引用:レベッカ/配給会社:ユナイテッド・アーティスツ
ダンヴァース夫人にとってマンダレーの屋敷こそ、レベッカそのものだったのでしょう。
レベッカの住む空間で、他の女性がマキシムと仲良くすることは耐えられなかったのです。
マキシムの罪が晴れ、ド・ウィンター 夫人と幸せを紡いでいく姿をレベッカに見せたくないという思いがありました。
ラストシーンで屋敷と心中したダンヴァース夫人の姿は全てを物語っているのではないでしょうか。
マンダレーの屋敷を燃やすことで、彼女は屋敷が他の女性の手に渡るのを防ぎレベッカと心中したことになるのです。
レベッカの複雑な愛の形
レベッカはマキシムに愛されてはいませんでした。
しかし彼女はマキシムの心を掴もうとします。
愛する人の手で死をむかえたかったという解釈
レベッカの愛については幾つかの解釈があります。
レベッカはファヴエルとの間に子供は出来ておらず、末期の癌であったことが判明します。
長くて数ヶ月だと言うと
そんなに長くないと……。
引用:レベッカ/配給会社:ユナイテッド・アーティスツ
医師に自分の死期を告げたレベッカは微笑んでいました。
ファヴエルとの子供が出来たと思っていたのに、癌だったと告げられた彼女はどんな思いだったのでしょう。
彼女は苦しんで死を待つだけなら、いっそ死んでしまおうと決意したのです。
最後は本当に愛するマキシムによって殺されたいと願った、という解釈の仕方があります。
レベッカはマキシムを愛していたという考え方です。
しかし、この解釈には少々無理が生じてしまいます。
マキシムをそんなに愛していたのなら、なぜ他の男性と浮気をしていたのかという疑問です。
また過去に彼女は偽りの愛をマキシムに持ちかけているのです。
自分を殺した罪で縛りつけたかったという解釈
レベッカの愛の解釈についてもうひとつの考え方があります。
自分は死んでいく未来しかないのに、夫はこの先も生きておそらく他の女性と再婚するだろう……。
自分を殺したという罪悪感を持たせれば、心をずっと自分に縛り付けて置けると考えたのかもしれません。
どちらにせよ本当に愛していたら、殺人という後味の悪いものを押し付けたりしないのではないでしょうか。
小説を読むとレベッカの愛が紐解ける
映画と小説とでは、レベッカに対する意見が大きく異なります。
小説を忠実に再現した映画とはいえ、ヒッチコックの味付けが印象を大きく変えているのでしょう。
彼女は夫マキシムを愛していなかった
小説ではレベッカは映画よりも性格の悪さが如実に描かれています。
自分が死んだ後、マキシムが幸せになるのは許せないから殺人という罪悪感を一生背負わせるという女性です。