しかしそのことで、ロンは初めて自分の行動を理解してもらうことが出来たのです。
ウィルソンの家族は、ロンの想いをくみ取ってくれました。ロンにとってこれほどの救いはなかったはずです。
赤ん坊の声は戦争のむなしさを知らせた
ロンは戦争で生涯消えない傷を負っています。それは体だけではありません。
加害者としての心の傷は、赤ん坊の泣き声と共に彼を引き裂いていくのです。
自分はスピーチをするような英雄ではないと感じた
自分達を絶賛する式典とは裏腹に、赤ん坊の声は全てがむなしい偽りであることをロンに知らせます。
無抵抗の村人を惨殺した兵士を英雄と称え、たいそうなスピーチをする。
赤ん坊の声はロンを正気にさせたといってもいいでしょう。
戦争という魔物に占領されていたロンの心に、戦争の斬撃を思い出させることで英雄でないということを教示したのです。
ロンは本物の男になれた
7月4日という特別な日に生を受けたロンは、本物の男になる夢を持っていました。
本物の男とは
映画のテーマともいえる「本物の男」は戦争で功績を挙げた男ではありませんでした。
国の為という言葉も劇中では深い意味を持っています。
本物の男とは真の正義を知っている男であり、本当に国の為を思うのであれば道徳のある強国へと導くのが愛国心であるのです。
ロンは想像を超える辛い体験を通し、本物の男になれたのです。
戦争映画の難しさ
戦争をテーマにした映画は、国によって賛否両論の意見が出るのは仕方のないことです。
アメリカから標的とされた国では、自分の意志で戦争に参加し、勝手にトラウマを抱え込んだ男の話とみられます。
戦争は時を超え数多くの遺恨を残します。
そして両者ともに戦争という魔物の被害者であることを忘れてはいけないのではないでしょうか。
戦争に翻弄された男の物語
ハリウッドでは戦争に英雄を求める兆しが強いのが現状です。
しかしこの映画は、そんな正当化された戦争の在り方を1人の男がアメリカ中に訴えかける心の叫びなのです。
戦争で死んだ兵士を英雄とは呼ばない、英雄だと思って死ぬ人はいない。
「7月4日に生まれて」はアメリカに大きな問題を投げかけました。