全ての事柄をなかったものとし、何も知らなかった幸せな時間に浸りたかったとも取れます。
戦後ドイツ人のメタファーであるマイケルは、自分に不都合な戦争の記憶を消そうとしていたのです。
マイケルはハンナの思いを寄付に託した
マイケルは原告の娘にハンナからのお金を断られ、寄付を決断しました。
裁判中のハンナは無知だった
裁判中のハンナは罪の意識が欠如していました。
新しい囚人が次々に送られてきて、古い囚人を送り出さねば収容しきれません
引用:愛を読む人/配給会社:ワインスタイン・カンパニー
上記のセリフがハンナの無知を象徴しています。
彼女は悪人ではありません、当時の自分の置かれた立場を明確に表現していただけなのです。
しかし、この発言は裁判所では不適切でした。
そのことに気がつかない彼女は、文字が読めないということで世の中の流れから置いていかれました。
戦時中のドイツに取り残されたままなのでしょう。
たまたま見つけた仕事を一生懸命やったに過ぎなかったのです。
ハンナは刑務所で多くを学んだ
何を学んだ?
字が読めるようになった
引用:愛を読む人/配給会社:ワインスタイン・カンパニー
マイケルがハンナに最後にあった時のセリフです。
ハンナはこの時、様々なことを学び沢山の後悔を感じていました。
しかしそれを字が読めるということで、表していたのです。
彼女の一言の奥には、様々な思いが詰まっていたのでしょう。
マイケルがその言葉の裏に隠された意味を知ったのは、ハンナが死んだ後だったのです。
ユダヤ人へ向けた謝罪
原作では、ハンナがホロコーストで生き残った人が書いた本を読んでいます。
映画では一瞬並んだ本が映し出されただけで、あまり詳しく描かれていませんでした。
ハンナが戦争に関する本を読んでいたことを、マイケルは彼女の死後知ることになります。
ハンナは、字が読めるようになったことで自分がやってしまったことの重大さを認識出来るようになったのでしょう。
彼女を思いユダヤ人の救済に寄付することで、ハンナは救われたのです。
原作で紐解く寄付の真意
彼女の本当の罪は「無知」ということです。
しかし彼女はその罪を犯そうと思って犯したわけではありません。
ロマ族だったという過去
原作ではハンナがロマ族だったと語られています。
当時のロマ族は読み書きのできないものがほとんどで、語彙が少ない種族でした。
ドイツ政府が「最終解決策」と呼んだ政策で、ロマはユダヤ人のホロコーストと同様に虐殺の対象とされた。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ロマ
ロマ族はユダヤ人同様の扱いを受けていた時代だったのです。