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2009年公開「エスター」はホラー映画に分類されていますが、音で驚かせたりお化けが出てくるわけではありません。
ホラー映画は一般的に、観る者に恐怖感を与えるために作られるのですが、「エスター」の場合はどうでしょうか。
確かに殺人や心臓がバクバクするシーンが含まれていますが、恐怖とは別の感情に襲われないでしょうか。
エスターの異常さは理解できないけれど、なぜか彼女に同情している自分がいる。
そこに、「エスター」をただのホラー映画で終わらせない何かがあるようです。
謎多き少女
孤児院から引き取られた子供ならば、心に傷を抱えていてもおかしくはありません。
しかしそれを踏まえても、エスターには不可解な点が多すぎます。
彼女に秘められた謎とは一体何なのでしょうか。
歯医者は断固拒否
9歳のエスターは歯医者に行くのを極度に嫌がりました。
子供が歯医者嫌いなのはよくあることですが、あれほどまでに拒んだのには何か特別な理由があるのでしょうか。
それにはエスターの正体につながる深いワケがありました。
乳歯から永久歯に完全に生え変わるのは12歳から14歳頃です。
9歳のエスターはまだ生え変わりの真っ最中の年齢なので、歯医者に行けば100%確実に正体がばれてしまいます。
そんなエスターは普段入れ歯をしていました。実際の年齢が33歳ですから、入れ歯をするのは不自然でしょう。
その入れ歯の原因は、彼女の生い立ちにあります。精神病院や孤児院で育ったエスターは普通の暮らしを送れませんでした。
健全とはかけ離れた生活だったため、歯がボロボロになり、ちゃんと噛むことができなかったのです。
食事の際に肉を小さく切り分けているのを見られて、ダニエルに馬鹿にされているシーンもありました。
本当の年齢を隠している身としては、決して歯医者には行ってはいけなかったのだと推測できます。
首と手首のリボンが隠すものとは
常に手首と首にリボンをつけているのは、エスターなりのオシャレでしょうか。
フリフリの洋服を常に着ているので、それに合わせたアクセサリー的な要素のようにも見えます。
リボンを取ろうとすると嫌がって暴れ出すので、相当なこだわりがあるのかもと思ってしましたが、実はそうではない様子。
エスターが孤児院に連れて来られる前、実はエストニアの精神病院に入っていた経歴があるのです。
その精神病院ではエスターの異常性ゆえに、手首と首に拘束具をつけていました。
拘束具をつけられているにもかかわらず、エスターは暴れまくっていたので、その時についた傷が消えずに残っていたのです。
さすがにそんなところに傷があれば怪しまれますから、カムフラージュとしてリボンをつけていました。
自分の素性は極力隠したいエスターですから、リボンを外されたら過去を調べられてしまうことがくらい分かっていたのでしょう。