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【世界にひとつのプレイブック(ネタバレ)】パットの心の変化を垣間見られるシーンを徹底解説!ダンスが二人にもたらしたものとは

出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07MKG7SGL/cinema-notes-22

『世界にひとつのプレイブック』はデヴィッド・O・ラッセル監督によるロマンティック・コメディ映画です。

躁鬱病という現代にはびこる病気をテーマにかかげ、彼らの苦悩を浮き彫りにしていました。

パットの心の変化に注目しながら、ダンスがこの二人にもたらしたものは何かを徹底解説していきます。

パットの心は躁鬱に支配されていた

The Silver Linings Playbook (film tie-in) ペーパーバック – 2012/10/25

パットは一筋の光のような希望を胸に抱いていると同時に心に問題を抱えています。

彼の抱いている希望と抱える問題とは何なのか見てみましょう。

パットの躁鬱病とは

パットは妻と復縁することで全てがよくなると盲目的な希望を抱いています。

浮気した妻、浮気されて病んでしまった自分を認められず幸せだった頃の生活を取り戻そうと執着しているのです。

潜在的リスクのある人が、ストレスなどの外的要因にさらされた時に発生する

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/双極性障害

パットはまさに、妻の浮気が大きなストレスになって躁鬱病を発病してしまったのでしょう。

治療法は下記のものが一般的です。

  • 薬物治療法
  • 心理教育
  • 対人関係社会リズム療法

劇中でも薬の話を熱心にする二人の姿が描かれていました。

パットは主に、薬物治療と意図せぬ心理教育(自分の病気を認める)によって克服していったのではないでしょうか。

根拠のない希望を持っていた

パットの躁的要素は、妻と復縁するという根拠ない希望を持っていることでしょう。

妻とやり直せれば全てが解決するとも思っており、そこに根拠は何もありません。

根拠のない希望は、彼が自分の境遇を受け入れていないことを示しています。

劇中でも自分をまともだとする発言がありましたが、パットに必要なのは全てを認め受け入れることだったのです。

自分では気付かない心の変化

SILVER LININGS PLAYBOOK

パットは自分で気が付かないうちに妻への執着心が薄くなっていきます。

それはティファニーにという存在の為でした。

ティファニーとの出会い

劇中にロニーの食事会でパットとティファニーが出会うシーンがありました。

妻一筋だったパットの心が揺さぶられる瞬間です。

ここで自分の心に素直になれば彼は救われたはずですが、自宅へ戻り結婚式のビデオで、揺れ動く自分の心を妻一筋に戻そうとします。

彼が自分の病気を受け切れていない為の行動でしょう。

クリフ医師の助言

劇中でパットはクリフ医師に下記のように諭されています。

ティファニーと仲良くなれば妻に寛大さや優しさをアピールできる

引用:世界にひとつのプレイブック/配給会社:ワインスタイン・カンパニー

クリフ医師には、妻に強い執着を持つパットの意識を他へ逸らそうとしている意図がうかがえます。

さすが医師というべきか、この発言によってパットは良い意味でティファニーとの距離を縮める結果となりました。

愛されていると実感し満たされた

SILVER LININGS PLAYBOOK

パットは妻に裏切られたストレスから躁鬱病になってしまいますが、心が満たされることで症状が緩和されました。

妻宛ての手紙

妻に宛てたパットの手紙を、ティファニーが届けると約束したシーンがありました。

この時パットはティファニーに愛情ではなく友情を感じていたはずです。

男女の関係ではないけれど、大切な人という認識が生まれたのではないでしょうか。

恋愛による躁鬱病を患う割合は男性の方が圧倒的に多いといわれています。

その原因のひとつが、恋愛相談をする相手がいないことです。

パットにはティファニーにという信頼出来る友人が出来たことで、心に余裕が出来たことでしょう。

愛されていると実感した

決定的なシーンは妻からの返信が、実はティファニーが書いたものと気づいたシーンです。

パットを傷つけないように、ティファニーが書いた偽の手紙には彼女の愛と優しさが詰まっていたことでしょう。

この時からパットのティファニーへの思いは友情から愛情へと変わります。

妻に固執することで、縛られていたパットの心が解放された瞬間でした。

ダンスが二人にもたらしたのは未来

SILVER LININGS PLAYBOOK

ダンスがパットとティファニーにもたらしたものとは一体何でしょう。

ダンスにより発散されるストレス

ダンスの練習に打ち込むことでパッとは心の中の執着が薄らいでゆくのを感じるようになります。

実際に、体を動かすことでストレスや心の雲霧が晴れていくのはよくある話です。

目標を持って練習することで、病が少しずつよい方向へ変わってゆくような感覚を持ったのでしょう。

辛いことがあると何もしたくないと引きこもりがちになるのが人間ですが、ダンスに打ち込むことで辛い記憶が消されていきました。

達成感で満たされた

パットとティファニーは、見事に5.0を獲得して賭けに勝利します。

5.0というスコアは大会全体の中では低いほうで、出来のよいものではありませんでした。

ですが、二人にとってはそんなことはどうでもよかったのです。

ダンスをやり遂げたということが、二人に新たな未来と生きる希望をもたらしました。

心の病は満たされていない思いが引き金となります。

ダンス大会を経て彼らは満たされることを知りました。

妻を吹っ切れたことで幸せになれた

SILVER LININGS PLAYBOOK

君を愛してる、出会ったときからそうだった

気づくまでに時間がかかってしまってゴメン

過去にとらわれてた

引用:世界にひとつのプレイブック/配給会社:ワインスタイン・カンパニー

パットの書いた手紙がすべてを物語っていました。

ダンスを通して彼は過去と決別が出来、ティファニーという大切な存在を手にすることが出来たのです。

ダンスに打ち込むことで、妻への執着心が消え真実の世界が見えたのではないでしょうか。

ティファニーにとってもダンスの大会に夢中になり、そして成果を残したことで夫を失った喪失感が消え行ったことでしょう。

衝撃シーンが物語るメッセージ

SILVER LININGS PLAYBOOK

劇中にはパットの異常な行動が、リアルに表現されていました。

衝撃的な描写

ガラスを割ってしまったり、大声を出してしまったりするパットの行動は観る者に衝撃を与えます。

しかしこの行動こそが躁鬱病の実態なのでしょう。

病気であると認識することが大切といわれていますが、それは本人ばかりではなく周囲の者も病気を認める姿勢が大切なのです。

劇中では躁鬱病の姿がリアルに描かれ、それを支える家族の姿が印象的でした。

パートナーを失うことへのストレスは、誰にでも起こりうることであり特別なことではないのです。

監督の思い

 

世界にひとつのプレイブック [レンタル落ち]

本作で監督を務めたデヴィッド・O・ラッセルには双極性障害(躁鬱病)と強迫性障害を患っている息子がいました。

心に病を抱える人と、それを取り巻く人々をテーマとした本作に、ラッセルは自身の境遇を重ね合わせます。

ラッセルの心の痛みが制作の原動力となって本作は誕生しました。

心に病を抱えた男女同士のロマンティック・コメディという本作の脚色はとても難しいものです。

ラッセルは5年間に20回以上脚本を書き直したそうです。

この作品の重みを感じるストーリーです。

身近な心の病を明るく描いた映画

世界にひとつのプレイブック [レンタル落ち]『世界にひとつのプレイブック』は、現代病ともいえる心の病を描いた作品です。

しかし重くなりすぎず明るいタッチで描くことで、彼らに未来があることを強く印象付けています。

パットが妻に耳打ちしたセリフは、観る者に委ねられていますが、きっと未来へ向けた明るい言葉だったはずです。

現実でも起こりえる身近な話だからこそ、奥深く感じる映画なのかもしれません。