誰も殺したくない、誰かに殺されたくないと人狼ゲームや生死から逃げていた愛梨の変化。
この愛梨の心理的な変化・成長こそ、本作の見所の一つといえます。
以降の愛梨のゲームへの積極的な姿勢、日常生活では生死を感じられないといった発言、などが愛梨の変化です。
なぜ愛梨は変われたのか
愛梨はなぜ「生きること」が「殺すこと」だと知ることができたのか。
それは自分の投票がきっかけで町村が死んだからです。
初めて人を殺した実感と自分は生き残ったという事実。
愛梨は「生きること」は「殺すこと」と認識し、「殺すこと」を決意しました。
町村が死んだ日の夜、愛梨は夢をみます。
それは死んだはずの友人が、銃を構えている夢でした。
銃を持っていたが、発砲しない友人の夢。
殺すことをしなかった人間の最後、愛梨はそう捉えて自らは変わる選択をしたのです。
愛梨が真理絵に投票した心境の変化
生き残るための投票
愛梨が真理絵に投票したのは、過酷な現実を受け入れない逃げの気持ちから、生き残るという気持ちへの変化です。
もちろん、真理絵を選ぶことに愛梨は大変な抵抗を感じます。
なぜなら、真理絵はこのみの姉であり、このみは愛梨と似た部分をもっている愛梨にとっての大切な人でした。
しかし、このみのカメラアイやこれまでの投票から真理絵が人狼であることはほぼ確実でした。
そのため「村人」である自らが生き残るために、このみとの友情を抜きにして、真理絵に投票をしました。
「生きること」が「殺すこと」だと気付いた愛梨に、人狼である真理絵を見逃すという選択肢はなかったのです。
愛梨が自ら考え投票した意味
愛梨にとって、真理絵に投票する意味は大きいものでした。
それまで投票を放棄、または自分に投票していた愛梨が、初めて自分の意志で殺す人間を選んだからです。
この投票こそ、まさしく愛梨の生きる意志が反映した、愛梨の変化を表すものといえるでしょう。
誰かを殺してでも生き残る。
その強い決意が、愛梨に人狼ゲームで勝つための選択肢を選ばせたのです。
なぜ登場人物のバックグラウンドがないのか
本作では愛梨以外の登場人物について、その性格がわかるようなバックグラウンドは描かれていません。
なぜなら、観客に登場人物への先入観を植え付けないためです。