フランチェスカとロバートの共通項の1つに「イェイツの詩」があります。フランチェスカが大切にしている詩集がそれです。
イェイツはアイルランドの詩人で、ケルト民話を題材とした詩を書くことでも知られています。
彼らが愛した詩の内容とは
映画の中で引用されている詩について少し触れようと思います。
ある男が1匹の魚を釣りあげるとその魚が美しい女性に変身します。
男は女性に一目惚れするのですが、彼女は消えてしまうというもの。
詩なので抽象的で分かりにくいですが、ロバートとフランチェスカが別々の道を歩むことがこの詩から推測できるでしょう。
死後はロバートと共に
母の遺言によって、土葬ではなく火葬を希望していることを知る子供達。彼らは明からさまに困惑しました。
父リチャードが買った墓地に母も入ると思っていたし、そもそもアメリカは土葬文化なのですから。
火葬への抵抗感
アメリカが土葬文化なのは、彼らの多くがキリスト教であることが根底にあります。
キリストが処刑後復活できたのは土葬だったため、体が存在していたからです。
ですから火葬してしまうとキリストのように復活できないという考えのもと、アメリカでは遺体を土葬するようになったのです。
この世では叶わぬ愛は彼らの死後成就するという切なさ。出会うために生まれてきたと同時に死ぬために出会ったのかもしれません。
不倫がテーマではない?
確かに夫がいるのに他の男性と関係を持つのは不倫です。
しかしこの映画では不倫を美化して伝えるという意図は無いように見えます。
もし不倫がメインの話ならば、フランチェスカの子供達も遺言を最後まで生理的に受け入れられなかったはずです。
息子は最初憤慨していましたが、結局最後には自分もパートナーと向き合うことを決心しています。
母フランチェスカの秘密は罪として糾弾されるべきものだったかもしれません。
しかし実際には子供達の共感さえも得ることができたのです。
伝えたかったこと
人生は選択の連続です。そして人間は完璧ではありません。
その時は最善だと思った選択でも後から考えてみたら失敗だったなんてことはいくらでもあります。
今ある環境、例えば親兄弟や夫に対して自分はどのように接してきたのか。またこれからの人生どう生きていくのか。
そんなことを考える機会を与えるのが、この映画の本当の目的だったのではないでしょうか。
観る世代によって違う捉え方ができる作品ですので、20代で観た時と40代あるいは60代で観た時の感想は変わってくるはずです。