加えてクリフの暴力がヒッピーの女から貰ったLSDにラリっての行動であることがアイロニーとして光っています。

作られたハッピーエンド

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やがて警察がやってきて、銃で足と腹を撃たれたクリフは救急車で病院へ。

ここで再びクリフとリックは友情を確認し合います。(いいシーンです)

その後クリフはなかなか行けなかった隣のポランスキー邸に行き、お腹の大きいシャロンと対面し客として邸内に招き入れられるのでした。

シャロンには未来が与えられたのでした。

これが歴史を改変してでも成し遂げたかったタランティーノの最終的な野望だったわけです。

めでたし、めでたし。“They lived happily ever after”

タランティーノのオタク的隠し技

音楽とラジオの使い方

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タランティーノは本作を制作するに当たり、ロスのAMラジオ局で1968~9年の放送を16時間聴きまくりました。

そして、その本物の放送の音をドライブシーンや劇中に効果的に使っています。

BGMとして聞こえてくるラジオDJの声やジングルは当時の時代の雰囲気を盛り上げるのにピッタリの役割を果たしました。

またこの映画には当時のポップスやロックがたくさん使われ時代のムードを「上げて」います。

オープニングはロイ・ヘッド&ザ・トレイツ。ラストシークエンスには思い入れたっぷりの「カリフォルニア・ドリーミン」。

意味深長な選曲ですがオリジナルのママス&パパスではなく、哀愁を帯びたホセ・フェリシアーノを使うひねり振りです。

その他にも有名な曲でもオリジナルを使わないとか、外した曲を使ってみるとか、タランティーノのオタク心が伺える選曲です。

登場人物へのこだわりと伏線

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中盤にブルース・リーが登場します。タランティーノのブルース・リー好きは「キル・ビル」を観るまでもなく有名なところです。

当時ブルースは運転手カトウ役で出演していたTVシリーズ「グリーン・ホーネット」が終了し、ハリウッドでアクションの先生のような仕事をしていました。

シャロン・テートにもクンフーなどのアクションの手ほどきをしています。

彼女が自分が出ている映画を観る「サイレンサー第4弾/破壊部隊」でも本物のシャロンはブルース譲りのキックを披露しています。

しかし本作でのブルースはあまりいいヤツには描かれていません

実際のブルースがそうだったようで、タランティーノは主人公たる「1969年のハリウッド」に真実味を出すため、そんな演出をしたようです。

ポランスキーも同様な描かれ方です。

以上のような事柄は全部ラストに向けたシャロン・テートへの愛情を補強するための演出と思えるのです。

クリフの愛犬「ブランディ」の重要な暗喩

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ラストのバイオレンスシーンでヒッピーを噛みまくり大活躍するクリフの相棒アメリカン・ピット・ブル・テリアの「ブランディ」

クリフの愛犬として彼の自宅であるトレーラーハウスで共に生活しています。

「ブランディ」はラストでは凶暴化するのですが、普段は大人しくてクリフの言うことをよく聞く良い犬です。

この犬のキャラクターが、「この飼い主にしてこの犬あり」的な暗喩を感じさせる存在でラストシーンにおいて生きてくる伏線といえるでしょう。

(写真の犬は「ブランディ」ではありません)

「ブランディ」はカンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞しました。

引用/Wikipedia:「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の項目より

ところでトレーラーハウスに帰ったクリフが「ブランディ」にドッグフードを与えるシーンは、タランティーノらしい意味のない?長回しが現れるところです。

ドッグフードの与える様、自分の雑な食い物をつくる様、モノクロテレビの画面のアップ、周りにある雑誌を映し出す様。

あまり意味があるとはいえないカットがだらだらと積み重ねられますが、これらから嫌な感じを受けることはないのです。不思議なことに。

いや、実はこれにより先述したように「ブランディ」とクリフのキャラクターの暗喩的同化をさり気なくみせているのかも知れません。

結局この映画はなんだったのか?

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この映画には様々な論評が加えられています。それだけ観る人により受ける印象の異なる映画なのでしょう。

タランティーノの映画をどれだけ観てきたか、という点でも印象は異なります。

1969年のアメリカ、カウンターカルチャーをどう理解しているかでも受け止め方は違ってくるでしょう。

また「シャロン・テート事件」についてどう解釈しているか、についても視点が変わってくるかも知れません。

しかし多くの論者の結末は「鑑賞後は幸福感に包まれた」という点に収斂しているようです。

歴史を改変してでもシャロン・テートを救い出しヒッピーに鉄槌を下したかったタランティーノ

彼女に無かったはずの未来を与えたかったタランティーノ。

本作のハッピーエンドは、主役である「1969年のハリウッド」が抱えた過去を(リックとクリフの将来を含め)精算し、未来を与えるものでした。

それを実現させるために、タランティーノは当時の町並みを正確に作り出しました。

さらに登場人物や写り込む様々なガジェットで「時代という主人公」を補強し、凝った音楽でさらに雰囲気をドライブさせたのです。

このようにして様々なアングルからくどいほど過去を覗き込み、ラストでは一気に未来への希望を解放したのではないでしょうか。

タランティーノからのメッセージは「ハリウッドは夢舞台」でなければならない、という事ではないのか、という思いが強く滲んできます。