出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00GL1H9CY/?tag=cinema-notes-22
実際に存在した連続殺人鬼アイリーンの運命を描いたサイコホラーサスペンス【モンスター】。
世界を震撼させた事件を元に作られた本作は、おぞましい殺人を再現しただけでなく、同性愛や人間の内面の醜さなども描いた作品でもあります。
公開された2004年は今のようにLGBTへの理解がなかったため賛否両論があり、作品自体が話題になったのは言うまでもありません。
今回はこの【モンスター】について、ネタバレを含みつつ、アイリーンがなぜ連続殺人鬼になってしまったのかを考察します。
さらに本作が意味する、真の意味でのモンスターとは一体何なのかを徹底解釈していきたいと思います。
実在した連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの人生
この【モンスター】という映画ですが、どちらかというと人間の救われなさをイメージした作品となっています。
実際の連続殺人犯の名前が使われていますが、モチーフにされているのには理由がありました。
ということでまずは「アイリーン・ウォーノス」の人生について軽く触れたいと思います。
子供時代
彼女は生まれた時から粗悪な環境でした。
父親は精神病を患い、児童を虐待した事もあったためカンサス州やミシガン州の精神病院に入退院を繰り返した。1969年、13歳の少女に対する強姦罪で有罪となり服役中に自殺した。母親に捨てられたアイリーンと兄・キースは母方の祖父母によって育てられるが、日常的に祖父から肉体的、性的な虐待を受けた。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/アイリーン・ウォーノス
実の父は犯罪を犯した挙句自殺し、母は育児放棄。そして引き取られた祖父母からの虐待の数々やレイプ。
人格を形成する大切な時期に、愛されることはおろかひどい扱いを受けて育ってきたのです。
人は環境によって価値観や物の分別、人に対して抱く感情や言葉の捉え方などが大きく変わってきます。
アイリーンを擁護するつもりはありません。
ただ、彼女が育ってきた環境が少なからず彼女を殺人鬼にしてしまった要因になっているのではないでしょうか。
青年時代
さらに青年時代になると日常的に犯罪を犯すようになります。
飲酒運転中に車から銃を発射し、コロラドで逮捕された。その後ミシガンに戻り、1976年にはバーでの暴力行為で再び逮捕されるが、喉頭がんによって21歳で死去した兄キースの生命保険で罰金を払い、残りの金を浪費した。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/アイリーン・ウォーノス
この他にも何度も逮捕されますが、一向に更生する様子はありません。
どこかで道を外れたとしてもそれを軌道修正してくれる人がいませんでした。
更生するチャンスは与えられたのでしょう。
しかし、彼女を信じて待ってくれる人や彼女自身がこの人の為にも変わらなければと思える家族がいなかったのです。
そんな状態でどうやって更生できますか?
そもそも悪いことだと思っていない彼女を、社会全体が見放したともいえるのではないでしょうか。
連続殺人鬼アイリーンが起こした事件
アイリーンは物の分別や善悪の区別がつく前から犯罪の中で生きてきたのです。
その結果、大人になったアイリーンは殺人事件を起こすようになります。
1989年から1990年にかけてフロリダ州で7人の男性を殺害。裁判では当初、その全てについて、売春婦として働いていた時にレイプされた、またはされそうになったための正当防衛だと主張したが、共犯者などが証言をし、のちに罪を認めた。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/アイリーン・ウォーノス
これが今回映画の題材にもなった殺人事件の概要です。
実に6件もの事件で死刑宣告を受けた彼女。女性が7人の男性を殺害するという前代未聞の殺人事件でした。
有罪判決を受けた彼女は、その判決が下された瞬間何を思ったのでしょうか。
最後まで更生することのなかったアイリーン。
その心と思考回路は完全に常軌から外れていたといわざるを得ません。
彼女は犯罪を繰り返すうちに本物のモンスターになってしまったのです。
アイリーンはどうしてモンスターになってしまったのか
そうならざるを得なかった
やはり生まれた環境が一番影響を与えていると考えられます。
生きるためにはお金を稼がなければならないですし、心のよりどころが必要な時だってあります。