ヤン・デ・ボン監督はそれまで撮影監督を務めたことしかありませんでした。
当時50歳を過ぎていた監督は、映画監督になれる最後のチャンスと思い、本作の制作を引き受けることにしたのです。
低予算での撮影の裏側
とにかく倹約の撮影
ヤン・デ・ボン監督が撮影を引き受けたことにより、『スピード』の撮影はスタートしました。
けれども予算が少なかったことで、現場は相当苦労しました。
本作の見所の一つである、アニーの運転するバスがフリーウェイを駆け抜け、次々と車と衝突するシーン。
ここで使われた車の多くは、当時洪水により廃車になった車だったのです。
廃車になった車を安く買い取って、何とか撮影をしました。
CGもほぼ使用しない撮影
本作では3000万ドルという予算の都合により、CGもほぼ使用しない撮影となりました。
数少ないCGのシーンに、序盤のエレベーターの爆破事件があります。
このシーンはエレベーターのミニチュアにキアヌの映像を合成して作られました。
終盤の列車が脱線するシーンでも同じくミニチュアが使用されました。
費用のかかるCGのシーンもミニチュアを使って再現する、低予算の本作ならではの撮影となったのです。
またミニチュアと同様、ミニカーも本作の撮影に欠かせないものでした。
多くの車が激突するシーンのある本作では、スタントマン同士の連携が欠かせません。
そのため撮影の前に、監督とスタントマンとの間でミニカーを使い入念に打ち合わせがされたのです。
苦労の絶えない撮影の連続
倹約しながらの撮影やCGなしの撮影以外にも苦労する点は多かったようです。
その中でも特に衝撃の大きい3つをまとめました。
- サンドラ・ブロックがバスを運転するシーンで、実はサンドラはほとんど運転をしていない。
- バスのシーンを撮影するために、12台ものバスを用意。
- 監督自身がバスに乗り込み、撮影をした。
特別なバスを用意
運転の撮影の際、サンドラはバスをほとんど運転していなかったのです。
一部サンドラが運転するシーンもあり、そのためにサンドラは免許を取得しました。
しかし多くのシーンは、プロのドライバーの運転です。
なかには運転席の真上に座席とハンドルを設置した特別なバスを用意しての撮影もありました。
12台のバスを用意
バスのシーンは本作のメインとなるので、状況に合わせて使うために12台ものバスが用意されました。
外観用から爆破用など主にバスをメインに移す撮影用。
それにアクションシーンや他の車と走らせるために使用するバスもありました。
監督自身が撮影にでる
実は困難を極めたのが、バスの中での撮影です。
狭い車内にはカメラマンや照明・音響など機材をもったスタッフが入り、それに役者もいます。
もちろんスタッフの機材が映るのは映画としてあるまじきことです。
狭い車内で、大人数が大掛かりな機材をもっての撮影は非常に骨が折れたようです。
ときにはヤン・デ・ボン監督自身がカメラをもって、バスでの撮影に挑むこともありました。
監督を激怒させたキアヌの髪型とは
監督の指示を超えてしまったキアヌ
キアヌ・リーブスは髪型のことで、ヤン・デ・ボン監督に激怒されています。
監督は撮影前に、髪型を短くするようキアヌに指示をしました。
けれどもキアヌは髪を短くするという指示に対して、ほぼ丸坊主の状態にまでしたのです。
結果、監督から怒られることになったキアヌですが、本人は反省するどころか髪型を気に入っていたようです。
キアヌの髪型が撮影の順番を変えた
主演のキアヌが丸坊主にしたことにより、なんと撮影の順番も変わることになりました。