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「ローマの休日」で銀幕界にセンセーションを起こした永遠の世界のアイドル、オードリー・ヘプバーン。
彼女の女優人生の中押しとなったのが本作「ティファニーで朝食を」でした。
本作をきっかけとしてオードリーは更に個性豊かなキャラクターを演じるようになっていったのです。
朝まだき、NY五番街のティファニー本店でウィンドウを見ながらコーヒーとデニッシュを手にするホリー。
バックに流れるのは名匠ヘンリー・マンシーニの「ムーンリバー」というファーストシーンは映画史に残る名シーンといえましょう。
映画自体もいつの時代にも愛されるエバーグリーンな作品に位置づけられています。
トルーマン・カポーティの原作を映画化した本作はヘプバーンの愛らしさが際立つお洒落なラブストーリー。
しかし、カポーティの描いた実際の世界は映画とは異なりました。
原作はホリーの「掴みどころのない女性像」など精神性が深く追求された作品だったのです。
ここでは映画の中でホリー・ゴライトリーという夢に生きた女性の光と影を中心に考察していきます。
また作品中重要な役目を果たす猫とホリーとの関係も考えてみましょう。
映画にはカポーティ的暗喩なども埋め込まれてはいますが、原作との違いなども考えていきたいと思います。
さらに、ホリーとポールはなぜ惹かれ合ったのか、についてもみていくことにしましょう。
ホリー・ゴライトリーという女性が放つ光と影
ホリーの夢
ホリーはお金持ちとのパーティーに入り込んでは、良さげなオジサマにアプローチしています。
なんとか玉の輿に乗りたいと。
しかし、お金持ちとの結婚を夢見る自由奔放でお洒落なホリーは、単にあっけらかんとした玉の輿狙いの娘ではないのです。
ホリーの影
ホリーの背後にある、14歳(!)の時に結婚した夫もいる田舎での閉塞した事実を見逃すことは出来ません。
本作の途中で登場する獣医で農家の夫がポールに告白する彼女の生い立ちと、NYに出てきてしまった経緯。
夫は4人の子供を残して亡くなった後妻に14歳のホリーを迎えました。
彼は酷い生活をしていた彼女を救ったのではないかと推察できるのです。
そうでなければ、ホリーを連れに来たのにポールの前からあっさりと引き下がるわけはないはずです。
夫はホリーはNYでの自由な生活こそ似合う、と考えたのではないでしょうか。
ホリーは辛い少女時代と早い結婚、田舎で子供を抱える後妻としての生活を捨てて、本当の自分を探しにNYに出てきたのです。
ルラメという本名を捨ててホリーとなった彼女は、お金の中に愛情を見出そうとしました。
セレブリティの象徴が彼女にとっては「ティファニー」だったのです。
彼女なりの「夢」を定め、それを目掛けて演技をしていたわけです。
しかしそれが間違いであった、真の愛情はお金にはない、ということをポールとの出会いで確認することになります。
それはラストシーン、ラストカットに如実に描かれることになります。
カポーティの世界とは違った「光」と「影」の魅力
カポーティの本音
この映画はアメリカ人小説家トルーマン・カポーティの同名の小説を原作としているが、