出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07PKBB52T/?tag=cinema-notes-22
2019年4月19日に「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」が劇場公開されました。
この作品は“京都アニメーション”が制作した大人気アニメ「響け!ユーフォニアム」の完全新作劇場版となっています。
吹奏楽を軸に、高校生達が抱える悩みや葛藤、恋愛模様などを描いた京都アニメーション至上最高傑作といわれている青春ストーリーです。
今回はこの「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」のネタバレ、キャラクターの心境を投影する演出。
そして本作で重要な役割を持つ柵やネットの意味までを徹底的に解説していきます。
冒頭5分で伝えたいこと
この作品の強みは音楽を流しただけで、回想や説明などなく、その時の情景が思い浮かぶという所にあります。
これは本作品のような音楽映画の一番の強みです。
そして久美子と秀一の恋愛模様が描かれる事を予想していた方が多くいらっしゃったとは思います。
しかしいきなり告白のシーンなんてだれが予想した事でしょう!
誓いのフィナーレは久美子の視点で描かれる
秀一の告白シーンから始まった本作。秀一の想いを聴き、久美子の瞳からは光が漏れ出し、そこにカメラがズームインしていきます。
これは本作が久美子の視点を主軸として物語を進めていくという事を表現しているものです。
今までは吹奏楽部の様々なキャラクターたちの物語でしたが、本作は最初から最後まで久美子の視点で描かれていました。
つまり彼女の見える範囲でのみ構成されるという思い切った試みで描かれています。
今作も繊細に表現される距離感
新入生・湊と久美子が会話をするシーンでは教室のドアにあるレール(溝)が二人の距離感を表しているのです。
吹奏楽部に入ろうか悩む湊に対し、久美子は自らレールを飛び越え勧誘します。
しかし湊に断られると再びレールを越え、二人の間に再び境界線が生じたのです。
本作も上記のような京アニお得意の裏のある演出がたくさんありますのでぜひ考察をおたのしみください!
眩しく設定された光が表す青春の煌き
作画や映像がとても綺麗に描かれている事で有名な京都アニメーション。今作品でも“光”というものに大きな力が注がれていました。
作品のパンフレットに書かれている高尾一也監督のコメントにもあるように、今作品は非常に光の入れ方が強いです。
これは吹奏楽を通じて成長していく登場人物たちの青春の一瞬の煌きを表現しているのではないでしょうか。
青春時代というものはあっという間です。その限られた時間の儚さを“強い光”というものに置き換えているのです。
そして、この作品における光の“明”または“暗”はその時々の登場人物の心の機微を表しているといえます。
柵やネットが表す人物の関係性や心理描写
今作品では柵やネットが頻繁に登場人物と共に映し出されました。
舞台である学校に当たり前に存在するありふれた物体でしかありませんが、実は重要な要素を持っています。
あまり注目していなかった方は、一緒にその意図を紐解いていきましょう。
柵は久美子の心の防御線
秀一との関係について久美子と奏が話すシーンで、屋上に行かないように柵が設けられていました。