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実話をもとにした映画は今までも数多く上映されてきましたが、どの作品でも主人公を取り巻く環境に観賞した人たちの感嘆の声が聞こえてきます。
今回はアカデミー賞受賞で議論を呼んだ「グリーンブック」について考察していきましょう。
時代背景
深く根付いた人種差別
舞台である1960年代のアメリカでは人種差別が深く根付いており、黒人は不当な扱いを受けていました。
本作の登場人物である天才ピアニスト、ドン・シャーリーも黒人であることから不遇な扱いを受けています。
その状況が色濃く描かれているのが、アメリカ南部へのコンサート・ツアー中のシーンです。
ツアー中、ピアノの演奏を終えたドンがステージから降りると招待主と一般の人々から差別扱いを受けます。
演奏するために招待されたカントリークラブの白人専用レストランへの入場を拒否されてしまいます。
なにより一番差別的に描かれているもの。
それは、映画タイトルにもされている「グリーンブック」がアフリカ系アメリカ人の旅行者がモーテル、レストラン、給油所を見つけるための(黒人専用ガイドブック)であることでしょう。
人種差別に変革をもたらす戦い
当時のアメリカに深く根付いている人種差別に対して活発に行動を起こすようになったのも1960年代からです。
そんな中でドン・シャーリーが行ったアメリカ南部へのコンサート・ツアーも、人種差別に対して自分も戦う意志の形だったのではないでしょうか。
「グリーンブック」で描かれる黒人と白人の二人
白人の優越とトニー・ヴァレロンガ
本作の中で描かれている白人はどんな人物であろうと優越感に浸っているように見えます。
常に自分たちが虐げることができる黒人という存在があるからこそ生まれる余裕、だからこそ同じ白人同士で仲良くしていられるのではないでしょうか。
同じようにトニー・ヴァレロンガも黒人に対して差別意識を持っていました。
冒頭で描かれている、自宅の水道工事に来た黒人作業員が口にしたグラスをゴミ箱に捨てるシーンは彼の考え方を表しています。
そんなトニーですが、他の白人と同じような優越感に浸っている姿を見せることはありません。
黒人に対しての差別意識はあるものの、自分に対しても少なからずコンプレックスを持っているのが作品を観ていると伝わってきます。
全く違う二人の旅
ドン・シャーリーはアメリカ南部のコンサート・ツアーに行くための運転手兼ボディガードとしてトニー・ヴァレロンガを雇います。