博士と義理の姉にとって-1は不幸の象徴であり埋まらない溝であるといえます。
希望を作った数式
博士が終盤で義理の姉に提示したメモにはeiπ+1=0と数式がありました。
これはマイナスであった博士の世界が杏子やルートによって変化した事を表現しています。
博士にとって+1は幸せの象徴であり、人生をもう一度頑張ろうと希望を生んでくれた数式なのです。
そして義理の姉との埋まらない溝を、もう一度埋めていきたいという博士の希望的象徴といえます。
義理の姉が家政婦の杏子に心を開いたのも、この数式を見て、もう彼は以前のような後ろ向きな人間ではないという事を悟ったのです。
杏子やルートとの思い出や忘れられない出来事が博士を再生させてくれたのだとそう思ったのでしょう。
そして博士と自分は魂の奥の奥で繋がっている、と義理の姉は解釈したからこそ杏子やルートの事も受け入れたのです。
幸せになりましょう
eiπは杏子やルートが現れる前の不幸な博士の象徴でした。また義理の姉の姿ともいえます。
それが+1である杏子やルートの登場で苦しみも悲しみも悩みも全て0に戻せるのだという事。
そしてこれからは明るく豊かな生活を送りましょうと博士は数式を用いて示唆しているのです。
eiπがいかに難解で複雑であっても、人間は1つのきっかけで救われる事を博士は実感しました。
eiπ=-1であった私達ですが、1つのきっかけであなたも変われる、お互い幸せになりましょうと博士は義理の姉に伝えたいのだといえます。
そして自分自身も大切に
iは「イマジナリー・ナンバー」の頭文字です。
iは想像上の数字、虚数の事を指します。そしてiは自分という意味です。
決して目には見えないけれど、そうした目に見えないものが世界を支えているとそういう事を示唆しています。
iは失った子供の事、はたまた杏子やルートの事、または義理の姉の事を指しているのです。
そしてiはかけがえのない自分を大切にしようというこの映画のメッセージといえます。
子供への愛にこだわる理由
博士はルートを始め大好きな野球を通じて関わった子供達の存在を非常に大切にします。
そこにはどういった想いが隠されているのでしょうか?
失った子供の分も
博士が子供への愛情にこだわる理由は、やはり自分と義理の姉との間にあった産まれなかった子供が大きく関係しています。
数式に当てはめ、-1とするほどなのです。
その時の博士の落胆は相当なものだったと思われます。