サーカスでピエロが空中ブランコから落ちそうになりながら、上手に演じます。
心配する春に対し母は次のように答えます。
楽しそうに生きていれば、重力も消してしまう
引用:重力ピエロ/配給会社:角川書店
彼らは、重力に逆らわず、重力で遊んでいるピエロのような家族なのかもしれません。
自然の摂理で逆らえないもの
重力とは自然のもので、誰もそれに逆らえません。誰もが、その重力の影響下で生かされています。
それは、遺伝子も同じです。自分の意識は、自分の遺伝情報を選べません。運ばれてきた遺伝情報に則り全てが決まっています。
遺伝には逆らえないのか
重力に逆らえないように、我々は遺伝に逆らえません。
ただ、重力のことを気にしすぎなくてもいいのだと、ピエロのシーンが示しています。
楽しんでいれば、落下でさえもイベントであり、落ちたところからまた始めればいいのです。
つまり人生を楽しむことを選択すれば、何を選んでも結果は相応のものとなります。
そうして選んだ家族だから、最強なのです。
重力に負けたくないから
春が階から飛び降りるのは、重力を怖がっていないという象徴的なものです。
彼は育ての親の愛情を選び取りました。
そして、春と泉水の父親も重力を受け入れ、怖がっていません。レイプされた妻が妊娠したときにそれを拒否し、生まない選択もできました。
仮に堕胎を選んでいた場合は、ずっと妻に罪悪感が残るでしょう。優しい言葉で慰めても、許されなかったという事実は残ります。
けれど、夫は妻を罪ごと受け入れました。それは妻の罪ではありませんが、その出来事自体を一緒に包んでくれたのです。
本当に素晴らしい夫婦愛であり、男性の人間性の豊かさが感じられます。
これは重力ではありません。神様の助言でもなく、彼自身が選んだ生き方です。
自分は犯罪者にはならないという意思の現れ
運命も悲運も自分の受け取り方次第で変わってきます。
ガンジーの教えが引き合いに出されています。
自分自身がこの世で見たいという変化になりなさい。
引用:重力ピエロ/配給会社:角川書店
神様からのお達しはありません。
命あるうちの選択は全て自分の次第で、どちらでも許されます。
そして、自分が自分を許せるのかは、その選択で違ってきます。
だから、春は飛ぶのです。
重力がまだあるのか確認しているのかもしれません。
たとえ飛び降りても怪我はしないのを知っているので、決して重力には負けることはなかったのです。
そして、父も母も亡くなり、全ての不幸が消え去っていき、二人だけの兄弟は、それぞれの自由を生きていくことになりました。
人生は、重力に逆らわず遊びながら、選んでいけという教えを胸に幸せになっていくでしょう。