さらに原作との違いは過激な描写が少なかったことも挙げられます。
原作ではかなり過激な描写が多く、そのまま映画にしたらグロテスクだったと批判がでることが予想されました。
その大きな例でいうと巨大な怪物クリーチャーです。
他の登場キャラクターにはない恐ろしさをもつものとして、原作にあったミュータントの位置づけになっていたクリーチャー。
ミュータントとはこれまで死んでいった者達の遺体を使って作ったおぞましいものだったのです。
また、カットニストの命を救ったスレッシュは原作ではケイトーに殺害されたと考えられていました。
しかし映画ではクリーチャーによって殺されてしまうのです。
ケイトーにスレッシュが殺されたことで、その後のカットニストをはじめとするスレッシュの仲間達の言動がラストまで重要な役割を果たしていました。
それがクリーチャーの登場により無くなったことは、大きな違いとえるのです。
複雑な三角関係
ゲイルとピータとの三角関係もまた「ハンガー・ゲーム」の魅力のひとつといえます。
映画では知り得なかった意外な事実が、原作では語られています。
故郷の親友・ゲイル
カットニスの兄のような、恋人未満友だち以上の男、ゲイル。
映画では冒頭にしか登場しない彼ですが、原作ではカットニスがどこにいても心の支えであるゲイルのことを思い出しています。
彼に恋愛感情はない、とカットニスは言い切っていますが、淡いとはいえ恋心を抱いているような描写がたくさん出てきます。
「恋人ではないが、望むならそうなれるだろうか?」と自問したり、「ピータとのキスのことをどう思っただろう?」と思い悩むシーンもあります。
物語が進むにつれてピータのことが気になり始めるカットニスですが、同時にゲイルのことを思い出しては、「どうすればいいのか?」と揺れ動くのです。
共に戦う仲間・ピータ
「薄幸の恋人たち」としてスポンサーから支援を得るため、お互いに恋をしているふりをすることになる同じ地区の贄、ピータ。
序盤は他の贄と手を組んでいるように見せかけていましたが、カットニスを助けるために彼らを裏切り、まともに歩けないほどの重傷を負います。
原作では、のちにカットニスが治療を施したものの、結果的には片足を失ってしまいます。
ゲーム勝利後に初めてピータの義足を目にしたカットニスは、「止血のために自分が足をきつく縛ったせいだ」と自分を責めることになるのです。
飢えているカットニスがピータにパンをもらうエピソードでは、映画では焦げたパンを雨の中に投げて寄越すシーンのみ。
実はピータが彼の母親と喧嘩をして顔を殴られてまで、彼女にパンを与えたことが分かります。
カットニスと男たち
生憎、映画ではどの役もあまり出番が多くありませんでしたが、ゲイルとピータ以外にも、カットニスを取り巻く魅力的なキャラクターがいます。
ここではそんなマイナーキャラにも注目してみましょう。
スタイリストのシナ
他のキャピトルの人間のように気取った話し方をせず、カットニスを心身ともにケアしてくれるシナ。
一貫してやさしい彼に信頼を抱き、カットニスは彼女の心の内を話します。